学長就任式 就任の辞(概要) 2010年4月10日
私を広島女学院大学の学長として、皆様より招聘されたことを心より感謝し、今からの4年間、誠心誠意、広島女学院大学の発展のために献身することを誓います。
今から42年前、今と同じ講堂において、広島女学院大学文学部英米文学科の2期生として、胸を膨らませながら入学式を迎えたことを思い出します。
卒業後すぐに結婚し、大阪に移り、良妻賢母になることに努めておりました。そんな折、娘をカトリックの幼稚園に入れ、シスターから講話を聞くチャンスがありました。ある時、シスターが、聖書の箇所マタイによる福音書25章14‐30節の話をしてくださいました。この箇所は私が10年間広島女学院での宗教教育の中で、ずっと理解できなかった箇所のひとつでした。この箇所は:
留守にする主人が、使用人の1人に5タラントン、1人に2タラントン、もう1人に1タラントンの自分の財産を預けて旅に出るのです。
5タラントンを預かった人は、それで商売をして倍にしました。
2タラントン預かった人も、同じように倍にしました。
1タラントン預かった人は、穴を掘ってお金を埋めそれを守りました。
主人が帰ってきた時に、主人から預かったお金を元手に商売をして増やした人が褒められましたが、主人のお金を忠実に守った使用人は、「怠け者で悪いもの」と叱られ、外の暗闇に追い出されます。私は、どうして堅実にお金を守ってきた人が叱られ、リスクを負いながらも人のお金を投資に使った人が褒められるのかずっと疑問に思っておりました。
シスターのお話で、「タラントというのは、あなたの賜物、タレントなのです」と言われたとき、目から鱗が落ちました。私たちは神様からそれぞれ異なったタレントを与えられている。その賜物を増やさないで、じっとしているのでは、神様に叱られるのです。
そう気づいた私は、私のタレントは何であるか考えました。帰国子女であった私は、ずっと劣等感の塊でした。自分には、「英語しかない」と思っていました。このことを契機に私には「英語がある」という発想に切り替えました。ではその英語に磨きをかけ、この英語を使えるようになろうと、同時通訳専門学校に行くことにしたのです。そこからは、どんどん新しいことへの挑戦が始まりました。
35歳で法廷通訳という仕事に飛び込んだのも、
37歳で神戸女学院の大学院に行ったことも、
46歳で聖和大学の助教授になったことも、
51歳で大阪外国語大学博士課程に入学したことも、
53歳で神戸女学院大学の准教授、そして教授になったことも、
そして何よりも、60歳で、この母校である広島女学院大学の学長として招かれたことも、全て、神様から与えられた賜物を大切にし、その賜物を増やし続けることができたからです。
昨年、学長候補のお話があったとき、祈りました。あなたに与えた賜物を使い、CUM
DEO LABORAMUS(われらは神と共に働くものなり)という広島女学院の標語にあるよ
うに、神の同労者となるようにとのCALLINGを聞きました。
これからは、40年ぶりに女性の視点から、広島女学院大学での女子教育に専念したいと思っています。
















