人間生活学部 管理栄養学科 ニュース

管理栄養学会

管理栄養学科では、春と秋に管理栄養学会を実施しています。

今年は、11月30日(水)に秋季管理栄養学会を実施し、2022年度に開講した科目である『栄養チャレンジ・ラボ』を履修した1・2年生による発表会を行いました。

まず、講堂で各ラボ(脳科学ラボ・食育ラボ・食品開発ラボ)の代表グループに、プレゼンテーションによる発表を行っていただきました。広い講堂で、堂々と発表されています。

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講堂とアセンブリーホールをオンラインで繋げて、プレゼンテーションを聞きました。

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続いて、すべてのグループがポスター発表を行いました。上級生や先生の質問に対して、これまでの学びから一生懸命回答されていました。

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上級生にとっても、後輩の研究成果の発表はとても良い刺激になったそうです。

この栄養チャレンジ・ラボの発表会は今後も秋季管理栄養学会の時期に実施される予定となっています。
脳科学ラボ・食育ラボ・食品開発ラボの今後の発表が楽しみですね。発表者のみなさん、お疲れ様でした!

これからも探究心を持って学びを深めていただけるよう、教員一丸となって応援しています。

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 先月11月17日の木曜日チャペルでは、宗教委員の石長先生の司会進行で、管理栄養学科の近藤寛子先生がお話してくださいました。先生は、出産後すぐに娘さんのために、1カ月半の付き添い入院をされたそうです。そのときを振り返ってのお話をしてくださいました。付き添い入院とは、患者が子どもの場合、親が付き添って同じ病院に入院することを言います。

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 食に対して不自由な思いをし、食べたいものも食べられない、そもそも食べることすらできない、買い物にも行けない、という経験を、近藤先生は付き添い入院時にされたそうです。そういう経験をされる方はおそらくとても少なく、全体から見るとマイノリティの経験ともなりますが、それを実体験されて、管理栄養士として、それら少数の立場にある方々にも、もっと寄り添う方法があるのではないか、と思われたそうです。

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 近藤先生は、娘さんを出産後すぐに小児科から「付き添い入院をしてください」と言われ、娘さんと同じ病院に1カ月半、付き添う形で入院されることとなりました。

 付き添い入院の場合、食事はどうなるのかというと、入院しているのはあくまで娘さんですので、ご自分の食事は自分で用意しなくてはいけません。しかし、娘さんにつきっきりで面倒をみる必要があるので、病室の外へ出られるのは、保育士さんが見守りをしてくれる1日20分間のみでした。さらにコロナ対策のため、病院では、面会や外出、付添交代の禁止など、厳しい管理の下にありました。

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 食事用意の選択肢としては、病院併設のコンビニか、家族の差入れしかありませんでした。その状況で1カ月半過ごすことになったのです。

 付き添い入院中の1日の食事は、差入れがない場合には
〔朝〕パン,〔昼〕カレー,〔夜〕ラーメン
のような状況であり、食事の調達ができない時や、食べるタイミングがない時には、1日1食になることもある状況でした。食べたいものが食べられないのは辛さがあったそうです。

 それに対して、差入れをいただいた場合には、食事は、
〔朝〕パン屋のパン,〔昼〕三色そぼろご飯・サラダ,〔夜〕ご飯・野菜炒め
のようになり、心が安らぐとともに満たされた、とのことです。そして食事というものが、いかに生活の中で大きく、それが食べられないときに、どれほど大きいストレスとなり、精神的・肉体的に負担になるのかを痛感されたそうです。

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 1カ月半の付き添い入院生活においては、『1食でいいのでコンビニ以外の食べ物が食べたい』という思いとともに、『管理栄養士監修のお弁当配達があったらな・・・』との思いも抱かれたとのこと。

 管理栄養士が働く場所には、「病院」「学校」「福祉施設」「食品会社」「ドラッグストア」等がありますが、今回のご自身の経験を通じて、おそらく他にも、管理栄養士の需要がある場所は多いと思われたそうです。

 本学の管理栄養学科で掲げる「食を通してあらゆる人に寄り添う」とは、マイノリティの人を含めた全ての人に対しての、寄り添うことであり、既存の仕事だけではなく、様々な境遇の方への思いを広げることで、仕事の可能性は大きく広がると思われました。

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お話したいただいた近藤先生と司会の石長先生

 このお話に関連しては、弁当や保存食の宅配、付添い入院の方のサポートなど、心の安らぎや充足を提供できる、管理栄養士ならではの仕事が見出されました。近藤先生からは、「これらにも何らかの形で携わりたい」とのメッセージをいただきました。管理栄養士の働きは、全ての方を対象とした生活の中で、多方面で求められているようです。管理栄養士として働き、全ての方の幸せに貢献できると嬉しいですね。

 近藤先生、ありがとうございました。

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 2022年11月26日(土)に、卒論委員の石長先生ほか、ご関係の方々にお世話いただき、管理栄養学科の卒業論文発表会が開催されました。①.jpg

 今年は各研究室から以下の16題の発表があり、会場では発表に臨む4年生、これから研究室配属になる3年生、そして教職員が、各ゼミの研究成果発表を聴きました。

  • 長寿食栄養素成分の神経分化への影響(野間研究室)
  • 日常生活でのレクリエーションの達成感および活動中の香刺激がおよばす食欲への影響 第1報(石長研究室)
  • 日常生活でのレクリエーションの達成感および活動中の香刺激がおよぼす食欲への影響 第2報(石長研究室)
  • 水中競技選手における栄養管理(下岡研究室)
  • 幼児期の箸の持ち方に関する実態把握と食育の検討(下岡研究室)
  • 大根の物性・嗜好性に及ぼす加熱調理条件の影響(渡部研究室)
  • 女子大学生における食生活と健康食品および食品表示利用状況の検討(市川研究室)
  • 青えんどう豆を用いた新しい食品に関する研究(佐藤研究室)
  • がん抑制タンパク質p53によるNF‐κB活性化経路の制御機構(土谷研究室)
  • EGCG(エピガロカテキンガレート)の抗炎症作用と抗がん作用(土谷研究室)
  • TCA回路の中間代謝物質 (フマル酸、イタコン酸)によるネクロプトーシスの抑制機序について(土谷研究室)
  • 小児食物アレルギーデイキャンプでの取り組みと課題 ~第13報 ~(妻木研究室)
  • おせち料理の経験 ・喫食状況 ―中国地方5県の比較―(近藤研究室) 
  • うつに効果的であるとされる献立の検討(吉廻研究室)
  • 認知症サポーター養成講座による管理栄養学生の意識変化について(吉廻研究室)
  • 加熱を取り入れた浅漬けの安全性の向上に関する基礎的研究(村上研究室)

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 1演題ずつの発表後の質疑応答では、会場の教職員、4年生、3年生から、多くの質問や助言があり、発表者たちは時に相談し合いながら、すべての質問に対して回答しました。多くの研究室では、研究期間は10ヶ月に満たないのですが、その間で得た研究成果を、会場の方々に、力を尽くして伝えようとする姿勢が感じられました。ゼミの皆で自信をもって創り上げていることが、発表時のチームワークから分かりました。

⑥.jpg 会の終わりに、管理栄養士養成課程担当主任の土谷先生から、総評がありました。

 4年生の発表からは、分かりやすく伝えるようにする努力や配慮が伝わり、その結果、発表内容が興味深く感じられたこと。研究デザインを考える難しさはあるが、ゼミのメンバーで協力して乗り越えてきた事実を今持っていること。そして、このメンバーで苦労してきた経験や、絆を大切にしてほしい。研究の難しさに立ち向かってきた経験を、今後に活かしてほしい、との言葉がありました。

 さらに、多くの方々が3か月後に国家試験を受験することになるが、がんばってほしい。4年生皆が、得られた経験を活かして、今後がんばっていってほしい。との激励の言葉がありました。

 季節は冬となり、4年生は卒業まで4か月です。卒業研究をやり遂げた事実を胸に、力強く歩み続けていただきたいと思います。

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