人間生活学部 管理栄養学科 ニュース

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 管理栄養学科では今年の前期にはじめて、オリジナルの実践型授業である『栄養チャレンジ・ラボ』が開講されました。
 1年生は、脳科学の視点から、食行動やおいしさを感じる仕組みを探求する「脳科学ラボ」、食育活動を通して食の大切さを伝え、人と関わる喜びを体験する「食育ラボ」、食品開発の基礎を学び、魅力あるモノ作りに挑戦する「食品開発ラボ」、3つのうちから1つを選んで受講しました。
 学期はじめの講義で基礎知識を学んだ後、自分たちでの企画・立案をしてグループワークを行ない、実際に食品や料理を作ったり現象についての考察を進め、その成果を7月23日、大教室でグループごとに発表しました。1年生62名、2年生21名による発表でしたが、質疑応答を含め、4年生の卒業論文発表会を思わせるような堂々とした内容でした。
 本日は、発表時の写真のみの報告となりますが、少しでも雰囲気や学生たちの気概を感じ取っていただければ幸いです。

脳科学ラボ

 脳科学ラボでは、味覚・嗅覚の脳神経系システムや、食欲中枢の視床下部と行動の動機づけのドーパミンなど、食欲に関連した脳神経科学の基礎を学び、その演習として『食に関する不思議な感覚』を経験し、その議論などを通して、自分の意見や考えを表現する力を身につけてきました。

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①グループ 演題:『昆布だし、かつお節だし、合わせだし』

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②グループ 演題:『ミラクルフルーツを食べたらすっぱいものが甘く感じる?』

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③グループ 演題:『嗅覚と味覚の関連性 ~匂いと美味しさの秘密とは~』

食育ラボ

 食育ラボでは、4月から食育活動について、その情報や実践例を持ちより、テーマやデザインの作成ほか、活動の準備を行なってきました。さらに『食育スープの会』を開催し、リーフレットやポスターの作成、実際の調理を通し、食育活動についての考察を深めてきました。

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④グループ 演題:『貧血予防と地産地消のための食育活動』

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⑤グループ 演題:『高血圧予防のための食育活動』

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⑥グループ 演題:『朝食欠食改善のための食育』

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⑦グループ 演題:『食品ロスへの取り組み』

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⑧グループ 演題:『地産地消を広める活動』

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⑨グループ 演題:『夏バテ防止のための食育活動』

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⑩グループ 演題:『野菜摂取向上のための食育活動』

食品開発ラボ

 食品開発ラボでは、学期はじめの講義で、食品加工や衛生管理、食品の評価方法について学び、各自が想定する対象者に合わせたパウンドケーキの開発に向かい、試作を重ねてきました。食品開発を通じて、食べる喜びを伝えることを最終目標としてきました。

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⑪グループ 演題:『小児を対象とした鉄とカルシウムが摂れる食品』

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⑫グループ 演題:『小児を対象とした栄養補給食品』

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⑬グループ 演題:『若年女性を対象とした野菜が摂れる食品』

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⑭グループ 演題:『小麦アレルギー対応食品』

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⑮グループ 演題:『鶏卵・小麦アレルギー対応食品』

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 各グループの発表毎に、教員から複数の質問がありました。どのグループも自分たちの思いや考えを自信をもって返答していました。前期という短い時間でしたが、その期間に主体的に取り組んで分かったこと、目標に向けて必要なことが、自分たちの言葉で述べられていました。今後の学生生活は、2年半、あるいは3年半ありますが、残りの学生生活への展望や思いが語られている発表も多くありました。4年生での卒論発表には4年間の集大成の意味がありますが、この1,2年生のラボ活動発表は、今の自分の現状や思いを踏まえて、今後の活動指針を見出すものとなったようです。
 最後に各ラボの代表教員から講評がありました。それぞれの先生から、素晴らしい出来であったことや、今後の成長への大きな期待が語られました。

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 活動発表会は大きな拍手をもって終わりました。1,2年生の学生生活は大きく進展していきそうです。

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 管理栄養学科では、3年生の秋から学外での臨地実習が始まります。初めての学外での実習に向けて、臨地実習ガイダンスが7月16日にありました。ガイダンスでは、はじめに挨拶と服装の確認を行ないました。これらは社会生活での基本となります。先生方からのチェックを受け、改めて自身の確認を行ないました。

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 学生の自分にとってはあたりまえのことが、社会では通用しないことがあります。臨地実習では、さまざまな施設にお世話になりながら、現場で働く管理栄養士の先生の業務や責任感を学ばせていただくとともに、自身もそのスタッフの一員として役割を果たす必要があります。ガイダンスでは、さまざまな状況を想定し、その場で何をすべきか、これから何を準備していけばよいのかを一人ひとりが考えることとなりました。

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 秋から始まる臨地実習は、自分自身の将来に通じる、貴重な経験となります。
 自信をもって臨めるように、精一杯の準備を成してゆきましょう。

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 広島女学院大学の管理栄養学科では「管理栄養学会」という組織をもち、学生の活動支援や学術講演会を開催しています。今年度は、本学科OGである管理栄養士の増井 祥子先生(医療法人恵正会)をお招きして7月6日に『二宮内科の管理栄養士の業務と役割 ~フードバンク活動を通して見えてきたこと~』という演題で講演していただきました。
 なお、当日は、本学科同窓生の会である「アイリス食の会」の第29回研修会も兼ねて、オンラインを活用したハイブリッド型にて開催されました。

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 講演会ではまず、管理栄養学会長の石長先生から開会挨拶があり、新学会長の妻木先生から増井祥子先生の紹介がありました。その後、講演が始まりました。

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 学科学生と同窓生は、上の写真の3教室とオンラインとで聴講しました。
 お話では、医療法人の中での管理栄養士としての仕事への関わり方(栄養管理、栄養管理計画書、食事に関する情報提供書、NST、食事・調理指導、献立作成など)に始まり、CSR(企業の社会的責任:企業が社会で存続するために利益を追求するだけでなく、社会の一員として社会的責任を果たすこと)や、ヘルスリテラシー(健康や病気の情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力のこと)について、まず述べられました。
 また、行政、民間企業とNPOやNGOの違いや、フードバンク活動(食品関連企業や農家、個人の方々から余剰食品を寄贈していただき、それを主に生活に困窮している人々を支援しているグループに分配する活動)についてお話しいただき、社会に貢献する管理栄養士について、大きな示唆をいただきました。

 増井先生が携わっておられるフードバンク事業の『あいあいねっと』では、「食」を仲立ちとして人と人との縁を結び、地域社会の人々の生活を支える活動を推進されており、あわせて、地域の人々が安心して暮らすことのできる心豊かな地域づくりをめざされているそうです。

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 『あいあいねっと』の活動は、人々の心や経済状態を含めての総合的な栄養サポートが病院での栄養相談だけでは難しいとの思いがあり、始まったそうです。栄養相談によって栄養の摂り方はわかっても、家族に経済的な負担をしいてまで望むことはしたくない、という高齢者の方々もいらっしゃるそうです。住み慣れた地域で、その人らしく安心して暮らせる地域づくりをするためには、「食」と「居場所作り」は欠かせない、との思いで、これらの活動はなされています。
 フードバンク活動は
① 食品企業から食品が寄贈される
② 食品の点検・整理・仕分け
③ 食品を必要とする団体に引き渡す
④ 各団体で調理して食べる
からなりますが、寄贈される食品についても紹介されました。

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 七夕などの時期の過ぎた季節商品や、育ちすぎた作物、飾り切り野菜の残りの部分、納品期限が過ぎた備蓄食料、コロナの影響で使われなかった食べ物など、『まだ食べられるはずだったのに捨てられてしまう食品群』が紹介され、その種類の多さに、聴いている私たちも、目から鱗がおちる思いでした。経済的に生活が苦しい人々がいる一方で、用途を見いだせずにただ廃棄される食料が膨大にあるのです。ここをつなぐのが『フードバンク活動』ということになるわけです。

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 活動支援団体には、食品メーカーのほか、物流、店舗、IT関係、文具店、電力会社、衛生管理会社、運送会社、医療法人、社会福祉法人の各団体が、食品活用団体には、路上生活者支援団体、青少年自立支援団体、障がい者支援団体、高齢者支援団体、地域の社会福祉協議会、高齢者生き生きサロン、母子支援センター、父子家庭ネットワーク、反貧困ネットワーク、地域・こども食堂などがあるそうです。
 みんなで支えあって、もっと元気な地域を創るため、多くの団体の方々が活動を支援してくださっています。

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 その後、食品ロスの現状ほか、多くの視点からのお話がありました。
 大切な食べ物を捨てずに生かすこと、食べ物は自然の恵みであること、食べ物は命そのものであること、食べ物を無駄にしないこと、食べ物は食べるためにあること、をあらためて思い直す時間となりました。
 食を通して地域の人々、地域資源をつなぎ、誰もが「その人らしい」暮らしができる地域づくりに貢献する、それを地域の管理栄養士としてめざされているとのことでした。

 この講演会では、会場の皆が元気をいただきました。
 増井祥子先生が益々お元気でご活躍されることをお祈りしております。

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