人間生活学部 管理栄養学科 ニュース

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 管理栄養学科では、3年生の秋から学外での臨地実習が始まります。初めての学外での実習に向けて、臨地実習ガイダンスが7月16日にありました。ガイダンスでは、はじめに挨拶と服装の確認を行ないました。これらは社会生活での基本となります。先生方からのチェックを受け、改めて自身の確認を行ないました。

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 学生の自分にとってはあたりまえのことが、社会では通用しないことがあります。臨地実習では、さまざまな施設にお世話になりながら、現場で働く管理栄養士の先生の業務や責任感を学ばせていただくとともに、自身もそのスタッフの一員として役割を果たす必要があります。ガイダンスでは、さまざまな状況を想定し、その場で何をすべきか、これから何を準備していけばよいのかを一人ひとりが考えることとなりました。

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 秋から始まる臨地実習は、自分自身の将来に通じる、貴重な経験となります。
 自信をもって臨めるように、精一杯の準備を成してゆきましょう。

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 広島女学院大学の管理栄養学科では「管理栄養学会」という組織をもち、学生の活動支援や学術講演会を開催しています。今年度は、本学科OGである管理栄養士の増井 祥子先生(医療法人恵正会)をお招きして7月6日に『二宮内科の管理栄養士の業務と役割 ~フードバンク活動を通して見えてきたこと~』という演題で講演していただきました。
 なお、当日は、本学科同窓生の会である「アイリス食の会」の第29回研修会も兼ねて、オンラインを活用したハイブリッド型にて開催されました。

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 講演会ではまず、管理栄養学会長の石長先生から開会挨拶があり、新学会長の妻木先生から増井祥子先生の紹介がありました。その後、講演が始まりました。

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 学科学生と同窓生は、上の写真の3教室とオンラインとで聴講しました。
 お話では、医療法人の中での管理栄養士としての仕事への関わり方(栄養管理、栄養管理計画書、食事に関する情報提供書、NST、食事・調理指導、献立作成など)に始まり、CSR(企業の社会的責任:企業が社会で存続するために利益を追求するだけでなく、社会の一員として社会的責任を果たすこと)や、ヘルスリテラシー(健康や病気の情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力のこと)について、まず述べられました。
 また、行政、民間企業とNPOやNGOの違いや、フードバンク活動(食品関連企業や農家、個人の方々から余剰食品を寄贈していただき、それを主に生活に困窮している人々を支援しているグループに分配する活動)についてお話しいただき、社会に貢献する管理栄養士について、大きな示唆をいただきました。

 増井先生が携わっておられるフードバンク事業の『あいあいねっと』では、「食」を仲立ちとして人と人との縁を結び、地域社会の人々の生活を支える活動を推進されており、あわせて、地域の人々が安心して暮らすことのできる心豊かな地域づくりをめざされているそうです。

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 『あいあいねっと』の活動は、人々の心や経済状態を含めての総合的な栄養サポートが病院での栄養相談だけでは難しいとの思いがあり、始まったそうです。栄養相談によって栄養の摂り方はわかっても、家族に経済的な負担をしいてまで望むことはしたくない、という高齢者の方々もいらっしゃるそうです。住み慣れた地域で、その人らしく安心して暮らせる地域づくりをするためには、「食」と「居場所作り」は欠かせない、との思いで、これらの活動はなされています。
 フードバンク活動は
① 食品企業から食品が寄贈される
② 食品の点検・整理・仕分け
③ 食品を必要とする団体に引き渡す
④ 各団体で調理して食べる
からなりますが、寄贈される食品についても紹介されました。

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 七夕などの時期の過ぎた季節商品や、育ちすぎた作物、飾り切り野菜の残りの部分、納品期限が過ぎた備蓄食料、コロナの影響で使われなかった食べ物など、『まだ食べられるはずだったのに捨てられてしまう食品群』が紹介され、その種類の多さに、聴いている私たちも、目から鱗がおちる思いでした。経済的に生活が苦しい人々がいる一方で、用途を見いだせずにただ廃棄される食料が膨大にあるのです。ここをつなぐのが『フードバンク活動』ということになるわけです。

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 活動支援団体には、食品メーカーのほか、物流、店舗、IT関係、文具店、電力会社、衛生管理会社、運送会社、医療法人、社会福祉法人の各団体が、食品活用団体には、路上生活者支援団体、青少年自立支援団体、障がい者支援団体、高齢者支援団体、地域の社会福祉協議会、高齢者生き生きサロン、母子支援センター、父子家庭ネットワーク、反貧困ネットワーク、地域・こども食堂などがあるそうです。
 みんなで支えあって、もっと元気な地域を創るため、多くの団体の方々が活動を支援してくださっています。

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 その後、食品ロスの現状ほか、多くの視点からのお話がありました。
 大切な食べ物を捨てずに生かすこと、食べ物は自然の恵みであること、食べ物は命そのものであること、食べ物を無駄にしないこと、食べ物は食べるためにあること、をあらためて思い直す時間となりました。
 食を通して地域の人々、地域資源をつなぎ、誰もが「その人らしい」暮らしができる地域づくりに貢献する、それを地域の管理栄養士としてめざされているとのことでした。

 この講演会では、会場の皆が元気をいただきました。
 増井祥子先生が益々お元気でご活躍されることをお祈りしております。

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 管理栄養学科では今年から、本学科オリジナルの実践型授業である『栄養チャレンジ・ラボ』が開講されています。これは、1年生から専門分野を学ぶ楽しさを体験できる授業です。

 1年生は、食品開発の基礎を学び、魅力あるモノ作りに挑戦する「食品開発ラボ」、食育活動を通して食の大切さを伝え、人と関わる喜びを体験する「食育ラボ」、脳科学の視点から、食行動やおいしさを感じる仕組みを探求する「脳科学ラボ」の、3つのうちから1つを選んで受講します。
 今回紹介する「脳科学ラボ」では、味覚・嗅覚の脳神経系システムや、食欲中枢の視床下部と行動の動機づけのドーパミンなど、食欲に関連した脳神経科学の基礎を学び、その演習として『食に関する不思議な感覚』を経験し、その議論などを通して、自分の意見や考えを表現する力を身につけてゆきます。ここでは「脳科学ラボ」で演習として行った『味覚の不思議体験』を中心に、活動の様子をレポートします。

 この演習では、それぞれの官能検査を行ない、以下の①~③について考えました。

 ① ミラクルフルーツで、なぜ酸味を甘味に感じるのか?

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 最初にレモン果汁を味わって、すっぱさを体験します。その後にミラクルフルーツを口の中で舐めてころがし、果実を口の外に出してから、再度、レモン果汁を味わって、すっぱさの変化を体験します。酸味はどうなるでしょうか。

 ② 昆布とかつお節を合わせると、なぜ"うま味"が増強されるのか?

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まず、昆布からだしをとります。

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次に、かつお節からだしをとります。

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 さらに、昆布でだしをとり、続いてかつお節を入れて、昆布とかつお節の合わせだしを作ります。
 それぞれのだし汁と、昆布とかつお節の合わせだしとを比べます。うま味はどうだったでしょうか。

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 ③鼻をつまんでりんごジュースを飲むと、りんご味がどうなるのか?

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 最初にりんごジュースを飲んで、りんご味を感じます。続いて、写真の器具(鼻栓)でしっかり鼻をつまんでりんごジュースを飲んでみます。りんご味や風味にはどのような違いがあるでしょうか。

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 授業では、この演習の前に、「ニューロンとグリア細胞について」、「活動電位、シナプス伝達について」、「脳の構造と役割」、「脳内のネットワーク」、「味覚に関連した脳神経回路」、「管理栄養士が知っておく味覚の知識」について講義がありました。
 現在は、この体験を、これらの知識や、新たな気づきをもとにして総合的にとらえ、最終のプレゼンテーションの準備を進めています。この授業を通して、今後学んでいく栄養学を多角的に考える能力を、皆で高めようとしています。これからも、自分自身の気持ちの高揚感を大切にしていきましょう。

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