人間生活学部 児童教育学科 ニュース

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1月26日(水)16:30~18:00、「AI時代の保育・教育に向けて」と題しまして、本学桐木建始教授の最終講義(「教育心理学b」)が行われました。
当日は当該授業の履修生を含む本学学生に加えて、本学教職員、そして卒業生と、約220名が対面もしくはオンラインにて参加しました。

まず桐木教授はご自身の学問的ルーツである認知心理学と行動主義の異同を軸に、その「長い過去と短い歴史」である心理学史における位置づけおよび保育・教育における「人間観」や「保育・教育観」の異同についてお話しされました(行動主義:環境を重視した「教える」保育・教育、認知心理学:子どもの主体性を重視した「支える」保育・教育)。
また、本学の元学長であり心理学研究者である今田寛先生と桐木教授および広島女学院大学との関わりについても紹介され、幼児教育心理学科(現:児童教育学科)の立ち上げの経緯についても話していただきました。

さらに、桐木教授の学問的ルーツを下敷きにしてスタートし、2008年から学科にて継続的に取り組んでこられた、 算数が苦手な小学生の学習を支援する活動「学習カウンセリング」についても紹介されました。学習カウンセリングは、「学習の自立」をめざす「技術的・認知的側面」と「算数が好きになること」をめざす「情意的側面」から構成されているとのことでした。

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写真)広島女学院大学の学習カウンセリングについて

そして、「AI時代の保育・教育」として、認知心理学のAIとの関りおよびAIによるディープラーニングの「威力」と「問題」(AIプロブレム)について指摘されました。このようなAI時代における難しい状況の中で、「創造性」:いわゆる「変わった子」、「不思議な子」を大切にすること、「批判力・表現力」:子どもの主体性を尊重するとともに、大人が適切な環境を整備することが「AI時代に求められること」であり、それらを追究すること通じて「知的多様性のある社会」を実現することを提唱されました。

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写真)AIがもたらすと考えられる社会的影響について

最後は、「社会的交換理論」の「互恵性規範」を援用され、桐木教授の大学教員としての教育観を培う土壌になった沖縄のCMを紹介されながら「その子のために力を尽くせば、必ず答えて(成長して)くれる」ことを信じ、保育・教育にあたることを私たち後進に望むメッセージとして残され、講義は締めくくられました。

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写真)花束と記念品の贈呈

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写真)最終講義を運営した、児童教育学会役員とともに

桐木先生、31年間、大変お世話になりました。


児童教育学会副会長の大瀬戸さん(3年生)は、「1年生の頃から学習カウンセリングでお世話になった桐木先生を、中心となって送ることができてよかった。」と話していました。また、送別の言葉を伝えた石田さん(4年生/在学生代表)は、「卒業論文にあたっては、常に学生のことを気にかけ、手を差し伸べてくださる桐木先生に大いに救われてきました。個人のペースに合わせて一緒に考え、学生の意思を尊重し、丁寧な添削をしていただきました。」と感謝の気持ちを伝えていました。学科教員一同、このような「大学人」をめざして頑張っていきたいと思います。本当にありがとうございました。

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児童教育学科の前身である幼児教育心理学科(2007年度設立)を牽引し、本学着任から31年間、学生を教え導いてくださいました桐木建始教授が2021年度末で定年退職することになりました。このたびの児童教育学会秋期講演会は、桐木教授の最終講義となります。新型コロナウイルス感染予防のため、卒業生等の学外者はZOOM受講となりますが、ぜひご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。

桐木建始先生 最終講義

演 題:教育心理学b・最終講義「AI時代の保育・教育に向けて」
講 師:広島女学院大学教授 桐木建始(きりき けんし)先生
日 時:2022年1月26日(水) 16:30~18:00
場 所:人文303教室からZOOM配信 ※学生は一部対面参加
参加費:無料・要事前申込
申し込み:学外者は以下のフォームから事前申し込みをお願いいたします。
     https://forms.gle/vnwFHkiYBSidkhLu6

申込締切:1月20日(木)

フォームに記録された電子メールアドレス宛にZOOMのURLをご連絡させていただきます。
URLの案内が届かない時は、以下にご連絡ください。

【問い合わせ】
広島女学院大学教務課(河野)
E-mail kyomu@gaines.hju.ac.jp
TEL 082-221-2633/FAX 082-221-5290

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【学生が制作したチラシ】

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児童教育学科では10月30日(土)、児童教育学会秋季講演会を開催いたしました。

講師には、日本女子大学名誉教授・東京大学客員フェローの坪能由紀子先生をお迎えし、2021年度秋期講演会&クリエイティブワークショップとして開催いたしました。

このたびは、感染者数も落ち着いてきている中での開催でしたが、最善の感染対策をと、対面で参加する学生を学会役員のみにおさえ、他の学生にはYoutubeライブやZoomなどを活用し、同時配信を行うという形での参加となりました。遠隔からは126名の学生の参加がありました。

会は2部構成となっており、第1部の「クリエイティブ・ワークショップ―誰にでもできる音楽づくり」では坪能先生をファシリテーターに、みんなで体や楽器を使いながら、自由にリズムやメロディを奏でました。
学生たちも最初は少し堅さも見えましたが、次第にリズムやメロディを奏でること、みんなといっしょにアンサンブルすることの楽しさを感じていったようで、たびたび笑顔も見うけられました。
坪能先生のお人柄とお考えに支えられて、学生たちも音楽づくりの楽しさを感じられたようです。

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【写真1】 手拍子でリズムを創っているところです。中央の学生がコーディネーターをしています。

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【写真2】 ドレミ#ファ#ソ#ラ(全音階・半音がない音階)を使って、即興的に旋律づくりをしています。

第2部の「講演会―「音楽づくり」の可能性」では、映像を使いながら、先生のこれまでの実践経験を踏まえて、子どもたちの音楽表現の豊かさ、そしてそれらを支える保育者の受容的姿勢の重要性について語っていただきました。
映像では、実際の子ども達の様子から、実感的に「音楽づくり」の可能性を感じることができたかと思います。

さらに本編終了後は、学生有志、学科教員によって、坪能先生を囲んで率直な質問、相談が寄せられました。
学生から「ピアノが苦手なのだけれどもどうしたらよいですか?」との問いに、坪能先生は「ピアノにこだわる必要はない。世界ではむしろギターの方がメジャーになってきている。さまざまな方法があり得る」と励ましていただきました。

学生のみなさんには、本会を通して、少しでも「音楽づくり」の楽しさを感じ、今後の活動に活かしていってもらえたらと思います。

本会の準備をされた学会役員のみなさん、お疲れさまでした。

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【写真3】講師を囲んで記念撮影。(撮影時のみマスクを外しています)

春の児童教育学会の様子はコチラ

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