ビオトープだより

 

ファイル1  2001年2月25日 川と池 完成 !

 2001年、22425日、31名の保護者の方々の参加、ご協力のもと、無事予定していたビオトープ造りの作業を終えることができました。参加してくださった方々、本当にありがとうございました。子ども達が、子ども用のスコップで掘り始めた川も、先日の大人の手による作業で形としては一応完成したことになります。子ども達は休み明けの月曜日に、立派な川に変身している姿に歓声を上げていました。その日に、自分達の休み中の大人の手による作業の様子をVTRでみることができました。 

作業1:雲悌移動

池の予定場所に雲悌があって、

移動せざるをえなくなり、

川と池を造る前に、

まずこの雲悌(わたり棒)を

掘り起こして引越しすることにしました。

 

 あの大きな雲悌(渡り棒)がいったいどうやって動いたのか、また、ダンプカーが大きな岩や玉砂利を運んできて、園庭に落としていくシーンなど、子ども達は興味津々でモニターにくぎ付けでした。参加できなかった皆様にも是非この様子をお知らせしたいと思っていたのですが、ビデオをお見せする機会がないのでここでお伝えしたいと思います。 

 雲悌の移動は、想像をはるかに超えた大変な作業でした。まさに壮絶という表現がぴったりです。よくけが人が出なかったものだと、今振り返って思います。それを成し遂げたのは、はじめて出会ったとは思えないお父さん達のチームワークの良さと、次から次へと降り掛かる難題を、いろいろなアイデアで切り抜けていった知恵によるものでした。途中、全く動かない雲悌を前に、『もうこのままにしておいて、雲悌の下に池を造ろうか』と何度もやめようと思いましたが、最後まであきらめなかったお父さんチームの情熱が、重たい重たい雲悌を動かしたのだと思います。一緒に作業をしていて、胸がジーンとなった、そして移設できたときには思わず抱き合って喜びたくなったひと時でした。

 

作業2:川と池の底のシートはり

  実際の川幅よりもさらに広く深く掘り、そこに防水シートを張り詰めました。この防水シートは、主にごみの処分場で、土壌を汚染から守るために使われているものだそうです。とても重いもので、力のいる作業でしたが、シートをひいてみると思わず寝転んでみたくなる、表面はつるつるした気持ちのいい素材でした。あんなものが川底に入っているなんて今ではうそのようです.

 

2001年、2月24日、25日の

2日間の作業により

25日の夕方に完成。

 今回完成した全体図です。写真右下に水道の蛇口と循環ポンプの水の出口があります。右下が上流で、川幅も狭く、そこから三つの堰と、三本の橋を越えて流れ、左上の池に流れ込みます。この池にはいろいろな動植物を入れたいなと計画中です。池に流れた水は再びポンプで汲み上げて、川上から流します。水道の栓もついていますが、水かさが減ったときにだけひねります。水道水にカルキや、塩素が混ざっていて動植物は生きていけるの?と思いましたが、土の上を数メートル流れるだけで十分に生物が生きていける水になるのだそうです。

 大きな作業はほぼ終了しましたが、ビオトープ造りは完成したどころか、まだ始まったばかりです。作業を終えて、実際に水を流してみたり、子ども達が関わっていく中で、もう既にいろいろな課題が出てきています。あらためて自然の偉大さ、精密さ、繊細さを実感しています。神様の創造物であるこの自然を、簡単に人間が復元できるものではないでしょう。しかし、幼児期の子ども達に豊かな環境を提供したいという願いのもとで、自然に対する畏敬の念をしっかり持って、これからも取り組んでいきたいと考えております.        子どもの安全や、遊びのルール作り(子ども達は、自分の体内温度計で少しでも暖かさを感じるとすぐに水と友達になってしまいます.)など、これからじっくりと考えていかなければならないことがあります。また、これからどんな動植物を入れるのか(きっと人為的に入れなくても自然に入ってくるものもあるでしょう。)、そしてそれらをどのように守っていくかというのも大きなテーマです。広島では初めてだという幼稚園のビオトープ造り。小学校での学習を主な目的としたビオトープと違う点が、子どもの遊びと、動植物の生態をどのように守り育てていくかということです。つまり、『子どもと動植物の共存』これが幼稚園でのビオトープのテーマだなあと思っています。楽しみでもあり、また大きな宿題を課せられていることも事実です。どうぞこれからも、温かく見守って、時には知恵と力をお貸しくださり、また時には一緒にあそびながらこの空間をともに創造できればいいなと思っています。

川びらきの日(2002年3月6日)

 

ビオトープって?

 自然と触れ合うことの少なくなった子ども達、いや、われわれ人間の生活。しかし自然はさまざまな恵みや、安らぎを与えてくれます。町を遠く離れなければ豊かな自然と触れ合えなくなった現状を嘆くのでなく、身近な自然を大切にし、また人間の手で破壊してしまったものは、逆に人間の手で創り出そう、たとえそれがはじめは人工的なものであっても、そこに動植物が棲みつき、周りの自然や生態と一体となれば人間と動植物が共存できる自然空間が生まれる、そんな思いから生まれた環境作り、自然の復元、それがビオトープです。ビオトープとはビオ(生物)、とトープ(棲む場所)【ともに独語】という、2つの単語をつなげた造語です。都市部の公園や、大都会のオフィスビルの一角、そして全国各地の小学校でこのビオトープを造る動きが展開されています。

 

誕生から一年のゲーンス幼稚園のビオトープの

季節ごとの姿や、子どもたちや動植物のいとなみを

また紹介したいと思っています。

おたのしみに。

 

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