人文学部 国際英語学科 ニュース

授業紹介アーカイブ

3月に入り、卒業式のシーズンを迎えました。今回の学科ニュースでは、この春卒業する英語文化コースの2名の学生に卒業論文の執筆を通じて学んだことや、どんな苦労があったのか、どうやってテーマを決めたのかなどを紹介してもらいます。

国際英語学科では、さまざまな社会問題を映画や小説などを通して学び、考えます。2020年5月にアメリカのミネソタ州ミネアポリスで発生した黒人男性を白人警官が死に至らしめた事件は、記憶に新しいと思います。この事件を契機に"Black Lives Matter"(黒人の命は大切)、いわゆる「BLM運動」が活発化し、アメリカ文化を学ぶ学生の卒業論文でも多く取り上げられました。

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M.Kさんは、ディズニーのアニメ映画を題材として人種問題について考察しました。

「私は卒業論文において、19世紀後半から1960年代までアメリカに存在した、一般公共施設を白人用、黒人用に分離するジム・クロウ法により黒人差別が激しかった時代と、ジム・クロウ法が廃止された後の時代である2020年までの黒人差別の違いについて、主にディズニー映画を用いて考察しました。ジム・クロウ法が存在している1941年に公開されたアニメ版『ダンボ』では、黒人をステレオタイプ的に表現したカラスや、白人によってサーカスで労働を強いられる黒人が登場し、黒人差別を直接的に描いていました。」

「しかし、2009年に公開された『プリンセスと魔法のキス』では作品内に登場する人間や生き物達の苦境を通じて、黒人の夢の実現の困難さを描くなど、黒人差別を間接的に描いた場面が多くありました。この違いは、時代や人々の黒人差別に対する考え方の変化により、差別の原因となる黒人のステレオタイプ的キャラクターを使用せず、黒人差別についても直接的に描きすぎないよう配慮するようになったことを学びました。」

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卒業論文の題目は、「今も続くアメリカの黒人差別―南北戦争からBlack Lives Matterまで」

「作品を何度も見返し細かい部分まで深く考察することや、どうしたら自分が思っていることを上手く伝えられるのか、納得するまで何度も文章を書き直したことは苦労したことでもあり、頑張ったことでもあります。しかし、もっと計画的に書き進めていればさらに考察を深められたと後悔しています。後輩の皆さんは、そういった後悔が残らないように計画的に卒業論文を書き進めていってください。時には思い通りに進まず挫けそうになるかもしれませんが、きっと完成した時頑張ってよかったと感じると思います。」

次に、Y.Y.さんは実話をもとにしたアメリカ映画も取り入れて差別問題について掘り下げました。

「さまざまな人種が共存して暮らしているアメリカにおいて依然として存在する人種・性差別について、ディズニー映画やアメリカ映画を用いて、アメリカの歴史と比較しながら論じました。第1章の『ダンボ』では、アニメ版と実写版を比較して1940年代と2010年代のアメリカの時代背景の移り変わりを考察しました。人種差別が浮き彫りとなっているアニメ版と比べ、実写版では経済格差や性差別が取り上げられていることが分かりました。」

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「アメリカ映画から見る人種差別」と題して論文を執筆しました

「第2章の『ラビング~愛という名前のふたり~』では、異人種間結婚が法律で禁じられていた1950年代のアメリカを舞台に愛を貫いて裁判に立ち向かう、白人男性のリチャードと黒人女性のミルドレッドのラビング夫妻の奮闘について考察を行いました。このラビング裁判を通して、アメリカが多様性を認める国に変化していく様子が読み取れます。実際に、アメリカでの異人種間の国際結婚の割合は年々増えています。第3章の『ズートピア』では、男性を連想させる力強い肉食動物と女性を連想させる可愛らしい草食動物の間で巻き起こる差別や偏見について考えました。また、事件を裏で操っていた真犯人は力がないと思われている草食動物の羊であり、視聴者である私たちの中にもある目に見えない差別や偏見も感じさせる映画でした。先入観を振り払い、差別や偏見を乗り越えるウサギのジュディとキツネのニックを通して社会の多様性を認めるよう訴えている映画であることを論じました。」

「第1章から第3章まで、幅広い世代に親しみのあるディズニー映画や、実話を基にしたアメリカ映画を用いることで、私たち視聴者にアメリカで起こる差別が身近なものとして捉えられることがわかるように論じる工夫をしました。私がテーマを決める際に大切にしたことは、興味がある分野であり、自分が楽しみながら学べるテーマであることです。卒業論文は3年生から4年生にかけて、約2年間の時間をかけて取り組んでいくので、テーマ設定をする際にはぜひ時間をかけて何を大切にするか考えてみてください。」

2021年度は新型コロナウイルスの影響も大きく、急遽オンライン授業となり、図書館で調べ物をするのも難しい時期もありましたが、オンラインで閲覧できるウェブ・データベースを利用して参考文献を集めるなど、学生たちはそれぞれ工夫して卒業論文を書き上げることができました。

大学生活の集大成である卒業論文を無事に完成させ、卒業を迎えた皆さん、本当におめでとうございます!

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「英語科教育法Ⅳ」の授業では、教員として教壇に立つ時を想定し、また、教育実習に備えて模擬授業実習を行ってきました。一人ひとりが中学校・高等学校の文部科学省検定済教科書から単元を1つ選択し、その単元についての学習指導案と授業を行う時間の本時案を作成しました。その指導案に従って、クラスメイトを生徒に見立てて授業を行いました。

今回で模擬授業を行うのは2回目となりました。学生の皆さんは、1回目の模擬授業実習で得た学びや気づき、助言等を意識した授業づくりをめざしました。また、2回目の今回は特に、「オーラルイントロダクション・オーラルインタラクション」と「文法説明」を重点課題として設定し、その2つの部分についての授業実践に挑戦しました。

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それぞれの授業からは、1回目に得た課題点を克服しようとする努力の跡、姿が見られました。また、生徒たちにより理解してもらうにはどうしたらよいかを考えた工夫もあちこちに見られるようになってきました。それぞれの授業後に行う学生相互のフィードバックの時間も、その内容が前回より格段に豊かなものとなり、他者の授業を観る視点も成長してきたことが感じられました。

以下に、学生の皆さんのリフレクションをご紹介します。

【振り返りの視点①】
1回目と2回目の模擬授業実習を比較して、その学びが生かされ、自分が成長したと感じられる点はどのような点ですか。

〇文法説明の際のスムーズさや生徒とのやり取りが成長した。どのように説明すれば分かりやすいか、また生徒にどのような投げかけをすることで生徒が自分で考えることが出来るかなどに意識を向けたため、成長できたように感じる。

〇よりスムーズな導入からそれ以降の流れや、生徒とのアイコンタクトややりとり。生徒全員をきちんとみていると行動で示すことが大事だと学び、実際に活かすことができた。

〇教科書の開閉のタイミング、自然に本文へ入っていけるような流れを掴むことができた点。また、対象の発話量や理解度を考えた授業の展開。

〇テンションの使い分けが今回の模擬授業で大きく学んだ点であった。最初は明るく、元気にやればいいのかなと思い授業に取り組んでいたが、やはり教師は授業でのテンションの使い分けで生徒の興味を高めたり、集中力を引き出しているなと気づき、最後の模擬授業でそれを活かすことができた。

〇数をこなしたことで緊張しにくくなったと思います。また、授業者としてのふるまい方、生徒とのアイコンタクトの取り方、生徒から見てどのように説明したらわかりやすい授業になるかといった視点を少しずつ身に付けることができたと思います。

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【振り返りの視点②】
1回目と2回目の模擬授業実習を比較して、2回目で特に学びとして得られたことはどのようなことですか。

〇スライドの使い方や、オーラルインタラクション、文法説明の仕方。授業の流れは今までわかっていたけど、内容を追求していくような授業の作り方を知らなかったため学べた。

〇文法説明、とくに復習しながらも新たなことを学ぶための細かい説明。色を使いながらどうすればわかりやすく行うことができるのか考えることができ、よりわかりやすい授業の作り方を1つ得られた。

〇オーラルインタラクションとオーラルイントロダクション等の導入の仕方を特に学ぶ事ができた。自分の中では導入となると一般的なものしか思いつかなかったが、ほかの模擬授業を見てクイズを使って導入を図ったり、様々な写真を見せて導入を図っていて、様々な導入の仕方を学ぶ事ができた。

〇センシティブな内容を扱うときの扱い方、例文の時制をきちんと意識すること、文法説明の方法を学ぶことができた。

【振り返りの視点③】
1回目と2回目の模擬授業実習を経験して、今も不安なことや今後の課題として自分が認識しているのはどのようなことですか。

〇授業や生徒との会話において、正しい英語や言い換えなどの知識量。勉強する必要がある。

〇緊張して声を発しているときに詰まったり、当てようか悩んでしまって間ができて結局生徒側に助けてもらうようなことが起きてしまったので、積極性というのが今後の課題だと思います。また、英語の発話量、練習量が全然足りていなくて、イメージでは持っていてもそれが発揮できていないので、イメージだけではなく、それを実践する力が必要だと考えています。

〇今後の課題はやはり英語力である。英語力がないと英語で唐突に生徒に質問したり、生徒の答えを口頭で直したりする事が出来ないからである。

〇オーラルインタラクション、文法説明、細かいところの自分自身の発言。

〇見やすい板書の仕方、英語の発話。

それぞれの学びの跡が振り返りから見てとれます。次からはいよいよ最終ラウンドに入ります。これまでに得た学びや気づきを生かしつつ、さらなる授業力の向上をめざして取り組んでくれることでしょう。

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One of the real strengths of the curriculum at the Department of International English (KEG) is the sheer range of options of types of classes that students can choose from. There is a very wide range of culture, language, and topic-based classes, and in this article, I would like to talk about one of my personal favorites, Environment & Society.
(国際英語学科のカリキュラムの真の強みの一つは、学生が選択できる授業の種類や選択肢が本当に幅広いことです。文化や言語、特定のトピックに基づいた授業など非常に幅広い科目があります。この記事では、私が個人的に好きなEnvironment & Sociery (環境と社会)の授業について紹介します。)

This course explores many different perspectives on how human society and the natural world connect. So, we look at things like ethics, institutions, and the concept of 'nature'. One great thing about all the classes at KEG is the active learning and smaller group sizes, which means there is always time and space for every student to share their ideas and opinions.
(この授業では、どのように人間社会と自然とが関わり繋がっているのかを様々な視点から考えます。私たちは倫理や公共機関、自然という概念を扱います。国際英語学科の授業の良い点は、アクティブラーニングを取り入れた少人数での授業を行っていることです。そのため、皆がそれぞれの意見を共有し、話し合うことができます。)

Some content of this course is quite challenging, however, one of the methods of teaching I use is a huge range of activity types. One week the students might be interviewing their family and friends about their impression of photos of imperfect vegetables, the next they might be taking an object from their home and trying to find out where all the different parts come from and how it was made, and in another week they might be asked to be the spokesperson for a tree in a dispute.
(この授業のいくつかの内容はとても難しいものですが、いろいろなスタイルのアクティビティを用いて授業を行います。ある週では、学生たちがそれぞれの家族や友達に不揃い野菜の写真の印象を尋ね、野菜の形が変わったことや生産方法を説明するアクティビティを行ったりします。他にも、これから切られるかどうかの危機的状態にある木の代弁者になって話すと言ったことも行います。)

As we are coming to the end of the semester, the students are in groups working on their 'objects' presentations. They take an ordinary object or idea from the world and discuss it from the various perspectives we have looked at throughout the course. They even create, assign, and grade homework assignments for each other.
(前期の終盤で、学生たちはグループで「オブジェクト・プレゼンテーション」を行います。学生は、日常生活と関係のあるものや考えなどを、授業を通して学んだ様々な視点から議論します。さらに、学生同士で互いに課題を作成し、割り当て、評価を行います。)

I've asked some of the groups to talk about their impressions of the course, what they've learned in researching their own presentations, and why they recommend that high school students consider studying with us here at KEG!
(このコースを履修する学生たちに、授業の印象や学んだこと、そして高校生の皆さんに国際英語学科をお勧めしたい理由を聞いてみました。)

First, we hear from RS and HS, who gave an interesting presentation about Wolves.

In this class, you can think about familiar topics such as protecting the environment, from new and interesting perspectives such as ethics, and anthropocentric and ecocentric approaches. It was an interesting class where I was able to learn how human society and nature interact with each other. We gave a presentation on the theme of whether it is ethically permissible to reintroduce extinct wolves through human intervention and restore the ecosystem, and who has the right to decide on this. It was a difficult topic, but it changed our view of "nature" and was a very meaningful project for us.
(環境への配慮や自然の保護など、今まで一度は考えたことのあるトピックを倫理的な観点や人間主義的観点、それとは対する考えにある環境主義の観点など様々な視点から考え、どのように人間社会と自然が相互に影響し合っているのか学ぶことができた興味深い授業でした。私たちは、絶滅してしまったオオカミを人間の手によって再導入し、生態系を元に戻すことが倫理的に許されるのか、またそれを決める権利は誰にあるのかというテーマでプレゼンテーションを行いました。難しいトピックではありましたが、「自然」に対する見方が変わりとても有意義なものとなりました。)


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RS & HS tackle the ethical problems of human intervention in ecosystems

Next, we hear from KO and MH, who based their final project around the deceptively tricky issue of french fries!

Throughout this class, we have come to understand how the environment and human society are related to, and influence, each other. We've looked at the basis of our concept(s) of 'nature', and what ethical reasoning looks like when it is applied to the natural environment. We looked at the global phenomenon of french fries, and how monocultural agricultural methods impact society and the environment, mainly from the viewpoint of risk and ethics. It's an interesting chance to think about environmental and social issues not only from Japan but also from a global perspective, which changes the way you look at the world and your daily life. I recommend this course to people who want to break the dull routine of daily life! Let's start by thinking about french fries, and then explore the environment!
(この授業全体を通して、環境と社会がどのように関わり、影響し合っているのか、また何をベースにして「自然」、「環境への善悪のアプローチ」を考えているのかを明確にすることができました。そして、私たちはフライドポテトの世界的な位置づけから、じゃがいもの単一栽培や品種改良がどのように私たちの社会と環境に影響しているのかを、リスクと倫理の観点をメインに分析し発表しました。日本だけでなく、グローバルな視点から環境問題や社会問題について考えることができるので、世界や日々の生活の見方が変わる点が面白く感じます。退屈な変わり映えのしない日々から抜け出したい人は、ぜひまずはフライドポテトから、環境について考えてみましょう。)

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KO & MH explored monocultures and consumer expectations of standardisation

And finally, AH and NK chose the issue of plastic bottles. This familiar topic in standard environmental classes is a great chance to see why this course asks students to go much more deeply into understanding a specific issue and see it from different angles.
(最後に紹介するのは、プラスチックボトル問題について発表したA.H.さんとN.Kさんの感想です。プラスチックボトル問題は環境問題を考える際ありふれた話題ではありますが、このコースではより深く様々な視点から解決策を模索することができます。)

We learned about the intersection of humans and nature through the issue of PET water bottles, which is considered to be a major global problem, from various perspectives. Even though we thought we were familiar with PET bottles, we actually gained a lot of new knowledge by looking at ways of thinking about the environment and society. For example, we learned there are big differences in reasons for buying PET bottles of water between people living in developed countries, and people living in developing countries, where plastic water bottles are very important. So, through the class, we were able to learn new things about seemingly familiar problems.
(世界規模の問題とされるペットボトル水の問題を様々な視点から考え、人間がどのように関わり影響されているのかを学びました。身近なペットボトル水でも社会・環境・考え方の違いで新しい発見があり、多くの知識を得ることができました。例えば、結果としてペットボトル水を買うという行為であっても発展途上国と途上国ではその理由に大きな違いがあり、ペットボトル水の重要性にも違いが見られました。この授業の活動では、身近な問題でも新しい考え方を学ぶことができました。)

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AH & NK looked at how developing and developed countries think about water differently

If you're interested in improving your English and learning about topics like this, and many others, please see our department website, and why not visit one of our Open Campus events! You can hear from not only teachers but also current students!
(英語力をつけたい、このようなトピックについて学びたいと思う高校生の皆さんは、ぜひ国際英語学科のウェブサイトを見たり、オープンキャンパスにも参加してください!先生からだけでなく、在学生からも話を聞けますよ!)

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