人間生活学部 生活デザイン学科 ニュース

2019年9月2日~13日の12日間の日程で生活デザイン学科の国内フィールドワークを実施しました。

旅のテーマは「日光と徳川ゆかりの文化遺産」。

「東照宮」をキーワードに名古屋・久能山・上野の東照宮と、日光の世界遺産2社1寺ほか文化遺産を訪ね、歴史・美術・建築について実地に学ぶとともに、日光街道などを実際に歩き、前近代の旅を体感しました。

その様子を7回にわけて、紹介します。

7・8日目 日光

9月8日(日)

7日目はうるし博物館、金谷ホテル、日光田母沢御用邸へ行きました。

日光駅から大谷川(だいやがわ)を渡って、山の方へ少し登ったところにうるし博物館があります。

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ここでは、さまざまな漆の作品や、作品が出来るまでの工程などの展示がありました。小西美術工藝社という文化財の修復なども手がける会社の博物館で、日光だけではなく平泉の中尊寺金色堂などの仕事もしているそうで、その試作品などが展示されていました。実際に触ることができた漆の壺はとても艶があって触り心地もよく、漆の美しさを感じました。
一本の漆の木からとれる樹液はほんの少しであることを知り、漆の貴重さも感じました。

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近々、閉館して、ネット上の展示のみになるそうで残念に思いました。

昼食は金谷ホテルで食べました。

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全国でも数少ないクラシックホテルのひとつで、そのメインダイニングという、普段と違う食事の雰囲気で緊張しましたが、どの料理も美味しかったです。和洋折衷の建築のホテル内には、いたるところに彫刻が施されており、日光東照宮など日本建築の意匠が散りばめられているようです。

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日光の世界遺産2社1寺の手前には大谷川にかけられた神橋という橋があり、拝観料をおさめて渡りましたが、先生はここで二荒山神社の焼き印がある木の杖(金剛杖)を買っていました。フィールドワーク後半の旅の間中、持ち歩くのは邪魔にならないかと心配になります。

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神橋は、日光を開いた奈良時代の勝道上人が激流を渡れずにいると、2匹の蛇が絡み合って橋になったという伝説がある朱塗りのアーチ型の橋ですが、明日お参りする二荒山神社の一部で、かつては神事のときや、将軍の社参、天皇のお遣いの勅使などだけが渡ったそうです。

日光田母沢御用邸は約1,300坪という大きな建築面積をもっている建物で、御用邸で使われた建築技術や伝統を伝える場となっています。

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大名紀州徳川家の江戸屋敷や、日光の銀行家の別荘、大正時代の新築部分など、いろいろな時代のいろいろな建物が混在していました。

天皇の別邸である御用邸は各地にあり、日光田母沢御用邸は大正天皇の御座所、御学問所などに使われました。ビリヤードが置かれた御玉突所と呼ばれる部屋があることには驚きました。

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部屋だけでなく庭園も綺麗で、どの季節でも楽しむことができるようです。

今日の移動範囲は日光市内だけで広くありませんでしたが、たくさんの美しい場所があることに気づけた日になりました。

(2年 神田 真歩)

9月9日(月)

今日は一日中、日光社寺文化財保存会の高橋俊雄さんにお世話になりました。
昨年、先生が二荒山神社の調査に呼ばれて、高橋さんと知り合い、今回も案内をお願いしたそうです。

まずは保存会に行って、保存会と日光の社寺の保存の歴史についての説明を受けました。

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1879年に発足した保晃会が現在の保存会の前身の組織であり、1970年から保存会になりました。建造物のみの修繕を行っていて、漆職人・彩色職人の方が6人、高橋さんを含む設計管理の方が6人の12人で実務にあたっているそうです。

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建造物の傷み具合に合わせて、半解体にして傷みが進んだ部分だけを交換するなどして修理しているそうです。保存会では以前から国産漆のみを使用するようにしていたところ、最近、文化庁が日光以外でも文化財の修理の際には出来るだけ国産漆のみ使用することにしたそうです。しかし、実際は国産だけでは漆が足りないため上塗りだけ国産を使用することになってしまうこともあると言います。

漆は15年から20年かけて1本の木を育て、そこから1度だけ漆を採るともう採れなくなってしまうことは、昨日のうるし博物館で学びました。高橋さんによると、国内では年間で2.4トンの漆が採れていたのが、採取する人の高齢化もあって、生産量は減少しつつあるそうです。その漆を、日光では年間500㎏から600kg、全国の約5分の1を使用しているとのことでした。

その後、高橋さんのご案内で、修理工事中の二荒山神社本社本殿を訪れました。

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日光に東照宮が来たことをきっかけに、二荒山神社は移動されていて、何度か建てたままの状態で「曳き屋」という方法で位置をずらしたり、屋根など一部改変されたりしているそうです。しかし、現在の東照宮よりも早い、当初の東照宮と同時期に建てられた日光山内で最も古い建物のひとつだと言います。

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修理現場では、足場にのぼって交換した木の焼き印や、樽木、銅板などを間近に目にすることができました。また、彩色途中のところでは、どのような順序で塗っていって仕上げるのかその工程も見ることができました。屋根だけで60kgの漆を使うそうです。

となりの輪王寺常行堂を参拝後、昼食をとりました。代々日光の社寺の漆の御用をつとめるお家がやっているお土産屋さん兼食堂で、2社1寺の境内のなかにある唯一のお店だそうです。

昼食後、日光東照宮や五重塔を見学しました。

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「見ざる言わざる聞かざる」で、有名な神厩や陽明門、家康のお墓、薬師堂の鳴竜をまわりましたが、東照宮でも本殿の修理工事が行われており、その現場も見せていただきました。

次に大規模な修理をするとすれば200年後のことだそうで、今回のフィールドワークに参加したからこその貴重な体験となりました。

最近修理を終えたばかりの日光山輪王寺三仏堂(金堂)、徳川家光の霊廟大猷院に行き、そこから二荒山神社の滝尾神社まで足をのばし、四本龍寺、本宮神社、本宮別所も案内していただき、もりだくさんな一日が終わりました。

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短時間で駆け足でしたが、高橋俊雄さんのご案内のおかげで世界遺産を満喫することができました。

(4年 渡邉 菜穂)

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④5・6日目 宇都宮~日光街道

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2019年9月2日~13日の12日間の日程で生活デザイン学科の国内フィールドワークを実施しました。

旅のテーマは「日光と徳川ゆかりの文化遺産」。

「東照宮」をキーワードに名古屋・久能山・上野の東照宮と、日光の世界遺産2社1寺ほか文化遺産を訪ね、歴史・美術・建築について実地に学ぶとともに、日光街道などを実際に歩き、前近代の旅を体感しました。

その様子を7回にわけて、紹介します。

5・6日目 宇都宮~日光街道

9月6日(金)

午前は、宇都宮で宇都宮城址の晴明館の歴史展示室、宇都宮二荒山神社、大谷(おおや)資料館を見学し、午後は日光街道徳次郎宿付近の散策をしました。

晴明館には、宇都宮城と城下町の出土品やミニチュア模型、歴史年表などがあり、当時の様子を見ることができました。城址はほぼ市街地に飲み込まれて、一部、復元のような新たな創作のような櫓が建てられていました。

宇都宮二荒山神社は豊城入彦命を祀った神社です。大きな鳥居とそこから続く男坂が印象的です。境内は神門、本殿、拝殿、神楽殿、明神の井があります。神門から拝殿までも広く、神社を見渡すことができたのが良かったです。

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大谷資料館では地下採掘場跡に入り、大谷石の採掘現場として使われた様子を間近に見ました。

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広さは約2万平方m、深さは平均30m、最深の部分は地下60mであり、平均気温は8度前後の幻想的な空間でした。天井に穴が空いている箇所が所々にあり、暗い洞窟の中に日光が入ってくるところなどは特に神秘的でした。江戸時代中期から1959年頃まで手掘りで採掘が行われており、資料館でその当時の道具や服装を見た後での見学だったため、その作業の苦労がより分かり感動しました。

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1959年からは採掘の機械化が始まり、実際に石に機械の跡が見られました。採掘された大谷石は近代建築三大巨匠のひとりフランク・ロイド・ライトが旧帝国ホテルの建材に利用したことで有名です。

日光街道では街道沿いにある智賀都神社を見学しましたが、ここは事前学修で読んだフランス人エミール・ギメによる『明治日本散策 東京・日光』で1876年にギメが立ち寄ったかもしれない神社です。

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日光街道にはところどころ杉並木が見られ、江戸と日光の間を将軍や大名が参拝のために往復した当時の街道の様子を体感することができました。

(4年 中島 咲子)

9月7日(土)

今日は日光街道で日光の一つ手前の宿場町、今市と日光だいや川公園・だいや体験館へ行きました。

東武線で上今市まで乗って、そこからかつての日光街道のおもかげを残す日光杉並木街道に出ましたが、全37kmにわたって、断続的に遊歩道のように整備されています。道の両側にそびえ立つ杉並木は徳川家康の忠巨松平正綱が20年あまりの歳月をかけて植えたものだそうで、樹齢は約370年から380年と言われているそうです。

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杉並木街道の保護と地域の文化を伝承するために整備されたという杉並木公園の遊歩道をしばらく日光方面に向かって歩きましたが、途中、江戸時代の名主屋敷や報徳仕法農家(レプリカ)が建てられていました。そこから大谷川(だいやがわ)沿いのだいや川公園に寄ったのち、ふたたび杉並木に出て、江戸方面に下今市に向かって散策しました。

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なお、報徳仕法農家の二宮尊徳は、薪を背負って本を読む二宮金次郎像で有名ですが、小田原市栢山村の農家に生まれ、幼いころに父母と死別するも、くじけることなく懸命に働き、23才で家の再興を成し遂げた人物です。のちに、幕府の役人となり、日光御神領の復興に力を尽くし、今市の報徳役所にて70歳の生涯を閉じたそうで、日光ゆかりの人だったと初めて知りました。

日光だいや川公園では園内のだいや体験館に行きました。ここには日光東照宮の精巧な模型があり、1923年から6年間をかけて制作された10分の1模型の傑作と呼ばれているそうです。

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陽明門をはじめとする建造物、眠り猫や本殿内の彫刻品など、構造はもちろん装飾や絵画にいたるまで実物をできる限り再現した精密な工芸作品で、体育館のような建物に実際の配置どおりに並べられて、その間を歩いて見て回ることができます。

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先生も、せっかくだから寄ってみようとあまり期待していない様子でしたが、行って観ると想像以上に見ごたえがありました。もっと宣伝したらいいのにとちょっと惜しく思いました。

明後日、実際に東照宮などを観に行きますが、そのまえに建物の概要を見られたのもよかったと思います。

(4年 伊勢田 麻有)

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③4日目 群馬世良田~足利~栃木

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⑤7・8日目 日光

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2019年9月2日~13日の12日間の日程で生活デザイン学科の国内フィールドワークを実施しました。

旅のテーマは「日光と徳川ゆかりの文化遺産」。

「東照宮」をキーワードに名古屋・久能山・上野の東照宮と、日光の世界遺産2社1寺ほか文化遺産を訪ね、歴史・美術・建築について実地に学ぶとともに、日光街道などを実際に歩き、前近代の旅を体感しました。

その様子を7回にわけて、紹介します。

4日目 群馬世良田~足利~栃木

9月5日(木)

今日は小山のホテルから足利経由で群馬世良田に行き、帰りに栃木市内に行きました。足利での乗り換えの際には渡良瀬川沿いを歩き、旧足利模範撚糸工場(現在はスポーツクラブに転用)の古い建築を見ました。

世良田ではレンタル自転車で世良田東照宮と新田荘歴史資料館に行きました。

世良田東照宮は、江戸時代初期に3代将軍徳川家光が日光東照宮を当初の簡素なものから、現在の豪華絢爛なものに建て替えた際、古い建物の一部を移築したものだそうです。家康が新田義貞などの新田氏の子孫を名乗っていたためここに東照宮があるとのことでした。

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今回のフィールドワークで4つ目(事前学修の広島東照宮も入れて)の東照宮です。先生は直前に、愛知の岡﨑と静岡浜松の東照宮にも行ったそうなので、6つ目です。

足利に戻って昼食をとり、ここでもレンタル自転車を借りて、次に向かったのが、昨日ニコライ堂で神父様の奥様から伺った足利ハリストス正教会です。ここの神父様は兼任だそうで、中にある山下りんのイコンは観られませんでした。

そこから足利中心部を目指し、八雲神社と足利織姫神社に立ち寄りました。織姫神社にはごく新しいものですが、7色に塗り分けられた鳥居が立ち、それぞれの鳥居の色に意味があるそうで、説明を読みながら石段を登りました。

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階段は多かったですが、登り切るととても見晴らしが良かったです。鑁阿寺(ばんなじ)では、国宝の本堂や栃木県指定の多宝塔と御霊屋など見ることができました。多宝塔の側には天然記念物の大銀杏がありとても大きく迫力がありました。

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日本最古の学校、史跡足利学校では湯島聖堂と同じく孔子をまつった聖廟という建造物は修復中のため見ることができず残念でしたが、方丈と呼ばれる学生が勉強をするための建物が復元され、入ることができたのでよかったです。最近日本遺産にも認定されました

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最後に足利から電車で栃木市に向かいました。

栃木市には古くからの蔵が残っており、昔からの建物や橋が残っておりその景観に合わせコンビニやカフェがデザインされていていることが分かりました。

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移動が多かったですが、その分より広域で文化財を見ることができたので良かったです。

(2年 児玉 唯)

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②3日目 東京

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④5・6日目 宇都宮~日光街道

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2019年9月2日~13日の12日間の日程で生活デザイン学科の国内フィールドワークを実施しました。

旅のテーマは「日光と徳川ゆかりの文化遺産」。

「東照宮」をキーワードに名古屋・久能山・上野の東照宮と、日光の世界遺産2社1寺ほか文化遺産を訪ね、歴史・美術・建築について実地に学ぶとともに、日光街道などを実際に歩き、前近代の旅を体感しました。

その様子を7回にわけて、紹介します。

3日目 東京

9月4日(水)

本日は東京で研修の後、栃木県に入ります。

ホテルは東京大学に近い本郷でしたが、まずそこから近い湯島聖堂を訪れました。ここは学問を司る神として孔子が祭られていて、幕府の学問所昌平黌(しょうへいこう)の跡です。現在は斯文会という儒教の公益財団が管理しています。

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明治時代には、この湯島聖堂を使って、日本で最初の博覧会を開催したそうです。博物館の起源にもなっている場所です。

次に、聖堂の脇にかかる橋「聖橋」を渡ってニコライ堂へ赴きました。

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ロシア正教の聖堂であり、正式には東京復活大聖堂と言います。

大きなドームを持つビザンティン式の建物で、1891年に建てられたあと、関東大震災で被害を受け、その後修復されたものだそうです。

内部にはステンドグラスや宗教画が多くあります。私たちが訪れた9月は、聖母マリアのイメージカラーである青色を基調とした布が使われていました。柱は彩飾の細かいコリント式にみえました。

神父様に案内していただきましたが、中央のイコンには、天使ミカエル、マリアとイエス・キリスト、天使ガブリエルが描かれています。これは日本人が描いたものだそうです。イコンを描ける人は現在、日本に5人しかいないとのことです。つまり、その他は輸入された聖画で古いものもあります。この教会の聖歌には伴奏がなく、ひとの声だけだそうです。

その後、日本道路原標のある日本橋で記念写真を撮り、貨幣博物館へと向かいました。

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館内を観覧後、徒歩で日光街道を浅草に向かいます。

昼食にはどじょう鍋が有名な「駒形どぜう」でどじょう鍋を食べました。

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1801年の創業で、駒形橋からとって「駒形どぜう」と名付けられ、食事をした1階の入れ込み席は江戸時代の雰囲気でした。

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昼食後は、再び日光街道を歩き、南千住駅から電車に乗り、栃木県小山市に移動です。

(4年 渡邉 菜穂)

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①1・2日目 名古屋・静岡

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③4日目 群馬世良田~足利~栃木

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2019年9月2日~13日の12日間の日程で生活デザイン学科の国内フィールドワークを実施しました。

旅のテーマは「日光と徳川ゆかりの文化遺産」。

「東照宮」をキーワードに名古屋・久能山・上野の東照宮と、日光の世界遺産2社1寺ほか文化遺産を訪ね、歴史・美術・建築について実地に学ぶとともに、日光街道などを実際に歩き、前近代の旅を体感しました。

その様子を7回にわけて、紹介します。

1・2日目 名古屋・静岡

9月2日(月)

フィールドワーク初日。
名古屋では名古屋城本丸御殿と名古屋東照宮へ、静岡到着後は静岡浅間神社へ行きました。

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名古屋城は徳川家康によって建てられ、家康の9男で初代尾張藩主となった義直の住居として作られた本丸御殿は、その後、3代将軍家光が京都に行くときに宿泊する上洛殿として増改築されたものです。

1945年の空襲で焼失し、戦後の1959年にコンクリート造で再建された天守閣は、現在閉鎖中で入ることが出来ませんでしたが、本丸御殿は最近、昔と同じ材料や工法を使って復元されました。建物の中を見学しましたが、天井や襖など、約10年という長い時間と手間をかけて細かく丁寧に復元されていました。

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名古屋にも家康を祀った東照宮がありますが、ここも本殿は焼けて、現在の社殿は初代藩主の正室の霊廟を移築したものだそうで、お参りだけしました。

新幹線で静岡に移動後、静岡浅間神社に行きました。

浅間神社は富士山信仰の古い神社で、境内にたくさんの社殿がありました。現在の社殿は江戸時代後期に再建されたものですが、静岡は徳川家ゆかりの地で、家康が晩年を過した土地でもあるので、幕府直轄の工事で建てられたそうです。なかでも浅間神社と神部神社の前に建つ大拝殿は2階建ての竜宮城のような建物で立派でした。

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富士山が見えるもしれない、と麓山神社の坂に登りましたが、木が邪魔で富士山は見えませんでした。あとで聞いたら、参拝客は入れない浅間神社本殿の石段からだけ見えるそうです。

浅間神社を出て、参道を歩いていると、安本酒醤油店というお店があり、古い道具などが飾られているので入ったところ、お店の奥さんがいろいろと丁寧に説明してくださいました。安本酒醤油は、昔は醸造もしていたそうですが、いまは小売のみしているとのことでした。明治時代の道具や、古い勉強机、そろばん、カメラなどがありました。江戸時代の地図や立体地図も見せてもらって静岡という地域について説明してもらい、わかりやすかったです。

(4年 伊勢田 麻有)

9月3日(火)

2日目は駿府城と日本平、久能山東照宮へ行きました。

駿府城では、坤櫓(ひつじさるやぐら)と巽櫓(たつみやぐら)という2つの櫓と、天守閣の発掘調査の現場を見学しました。

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櫓の職員の方に、映像や資料などで丁寧に説明をしていただき、駿府城の歴史や、やぐらの復元、発掘調査でわかっていることなどをより深く学ぶことができました。天守閣の発掘現場では、すぐ近くまで入って見学することができ、解説員の方から、豊臣秀吉の時代の天守閣の痕跡と、徳川の時代の天守閣について説明していただきました。

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日本平では夢テラスという富士山を見ることができる展望台へ行きました。残念ながら霧(雲?)が出て、見えるはずの富士山は残念ながら見ることはできませんでしたが、雲に覆われていた下界の町が雲間から徐々に見えてくる幻想的な様子もそれはそれで珍しい景色でした。

その後ロープウェイに乗って久能山東照宮へ向かいました。

徳川家康の死後、最初に埋葬された場所で、建物の装飾がとてもきらびやかで、昨日訪れた名古屋東照宮とは印象がかなり違いました。宝物館もあり、資料を見て回りましたが、私たちが広島に戻った直後に福山で久能山東照宮の展覧会がありました。

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久能山から徒歩で降りるときの海はとても綺麗で、富士山が見れなかった分、感動が大きく、気持ちよく下山することができました。

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静岡県と徳川家康のつながりが深いことが感じられた2日目となりました。

(2年 神田 真歩)

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②3日目 東京

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生活プロデュース領域

2019年8月27、28日に本学で「ESDティーチャープログラム」を開催しました。

家庭科、国語、英語の教員を目指す在学生と現職の小学校教員の計11名が参加し、2日間学びを深めました。

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このプログラムは近畿ESDコンソーシアムの主催で開催されました。教員としての基盤になる力量に加えて、豊かな教養のもと、地域を教材化する視点を持ち、児童・生徒の主体的な学びを引き出すとともに、自らも持続可能な社会を担う一因として、ESDを実践していく力量を備えた教員になることを目指すプログラムです。

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1日目前半は広島大学の吉田和浩先生から「SDGsの理論」について、後半は奈良教育大学の中澤静男先生から「ESDで育みたい資質能力」について講義していただきました。

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どちらの内容も初めて聞く言葉や世界の危機的状況などに戸惑いながらも、自分たちには何ができるのだろうか、真剣に考えさせられるものでした。

2日目前半は「ESDの授業づくり」について、日本文化学科の植西浩一先生からこれまでのご経験を教えていただきました。さらには2017年度から国際教養学科及び日本文化学科で行われている安芸太田町との取り組み「芸太田町花田植」に参加した学生から学びの発表もありました。

体験することで、地域を知り、人と協力して何かを作り上げ、そこで伝統を守り続けている人と出会う、このような取り組みを通して、ESDにつながる資質・能力や授業づくりの在り方や発想を学んでいきました。

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また、生活デザイン学科の楢﨑久美子先生の衣生活を例にしたお話から、授業におけるESDの視点についても学びました。

2日目後半は、奈良教育大学附属小学校の河野晋也先生から「ESD実践事例検討」について教えていただきました。小学校社会科の授業を例にESDを行っていくためにはどうしたらいいか、どのような授業展開があるかなどを全員で考えました。

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教育実習に参加した4年生は実際の生徒のことを思い出しながら、2、3年生も自分が受けてきた授業や活動、これまでの生活を振り返りながら意見をどんどん出していました。

すぐにESDが実践できるわけではありませんが、教壇に立った時に必ず役に立つ力、視点を獲得できたと思います。

このプログラムの開催には近畿ESDコンソーシアム、広島大学をはじめ、学内外の多くの方にもご協力いただきました。関係くださった皆様、本当にありがとうございました。

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インテリア・住居・建築領域

建築士課程では、専門科目やゼミで建築作品や建設現場を実際に訪問し、実地に学ぶ機会を多数用意しています。

今回は7/28(日)に福祉環境計画学で訪問したIROHA villageでの学外実習を紹介します。今回は、本学で造園表現(ガーデニング)技術論、設計実習を担当頂いている仙石先生にもご一緒して頂きました。

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学外実習の前に『新建築』に掲載された作品「畑の下のラボラトリー」(中村拓志氏設計)の設計趣旨や図面、建築概要をしっかりと読み、当日の実習に臨みます。

一帯は新興工場地帯で、2018年3月にもみじ饅頭で有名な藤い屋さんの工場に隣接する飲食、物販店舗としてオープンしたばかりの施設です。 この施設の特徴は、食材の実験農場を併設していることにあり、「菓子づくりが土とともにあること」を職人さんたちが実感し、誇りを持って働ける場が提案されています。

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土づくりから始まり、小麦、小豆等、実際のお菓子づくりに使用する作物や、各種果樹、ハーブ等が栽培されています。案内の方に丁寧に説明頂き、実際に樹木や作物に触れながら、実験農場と施設を一周します。

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敷地中央の畝を持ち上げた下に建物を挿入したようなつくりで、上部にもハーブ園が広がっています。今回は特別にらせん階段を登って、屋上のハーブ園も見学させて頂きました。

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工場の東側はガラス張りになっており、歴史的な器具や、中で働く職人さんたちが手で作業をしている様子を見学することが出来ます。

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やきたてのもみじ饅頭と飲み物を頂きながら、もみじ饅頭の歴史も教えて頂きました。

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細長い建物の北半分にレストランが、南半分の店舗ではお菓子、パン等が販売されています。店舗部のガラス張り仕上げの外側には竹が渡され、小麦のわらがカーテン代わりに使用されています。建物、家具、外構が一体的に設計され、様々な植物が育てられている実験農場の姿も、設計者が継続的に関わりながらつくりあげていることを知ることが出来ました。

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おいしいお菓子やパンもいただき、楽しい学外実習になりました。暑い中、案内頂いた藤い屋の皆様、ありがとうございました。

生活デザイン学科では実習を通した実践的な学びをカリキュラムの特徴としています。また、学内外のコンペ、コンテストで多数の受賞実績が重ねられています。是非、過去の学科ニュースもご覧下さい。

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今年度も、学生デザインによる学科はがきが完成しました。

1年生の授業「生活造形論」の課題で学生がオリジナルはがきデザインに取り組み、4作品が優秀作に選ばれました。今年度の学科はがきとしてオープンキャンパスのお知らせやプレゼントとして活躍します。

学科はがき1

千葉名奈さんの作品

学科はがき2

川上倖奈さんの作品

学科はがき3

新谷あかりさんの作品

学科はがき4

和田夏紀さんの作品

生活デザイン学科では実習を通した実践的な学びをカリキュラムの特徴としています。また、学内外のコンペ・コンテストで多数の受賞実績が重ねられています。是非、過去の学科ニュースもご覧下さい。

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インテリア・住居・建築領域

生活デザイン学科の授業「インテリアデザイン演習」が、今年度から始まりました。

前半は、インテリア空間の設計、後半は木製の椅子を実際に製作します。今回は、前半の松尾兆郎先生の担当授業より4作品を紹介しましょう。

第1課題 「住宅のリビングルーム」(4m×5m)のデザイン

A:「ENGLISH-STYLE LIVING ROOM」の作品ボード

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地域の文化性・民族性から生み出された独自のスタイルから発想したインテリアです。英国調の特徴をうまく捉え、細部まで丁寧に検討されています。

B:「トゥーゲンハット邸風リビング」の作品ボード

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建築家ミース・ファン・デル・ローエのデザイン技法から発想したインテリアです。単なる模倣に終わらず、自身のオリジナリティがうまく調和しています。

第2課題「中規模のシティホテルのロビー」のデザイン

C:「駄玩思屋」の模型

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視線が通る造作と暖簾によって限られた空間を最大限に活かしています。ホテルのロビーの固定概念を良い意味で壊しています。

D:「OMOTENASHI風ロビー」の模型

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和風のおもてなし空間を上手に演出しています。オリジナルの照明デザインが空間にアクセントを与えています。

インテリア空間は、自分でテーマを決めてデザインを行います。

・テーマは明快であるか?
・空間としてうまく表現されてるか?
・丁寧に作品が作られているか?

により評価されます。

インテリア空間には、正解はありません。作品ボードや模型により、様々な空間表現ができることがわかります。

さあ、授業後半ではどのような椅子の作品ができるのでしょうか?完成しましたら紹介しましょう。お楽しみに!

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生活デザイン学科地域デザインでは、「社会教育課題研究I」の授業において、国立江田島青少年交流の家(以下、交流の家)「野外活動指導者養成講座」プログラムおよび広島大学との連携で実習を行っています。

この実習により、「社会教育主事」資格取得に必要な技能や企画・実践力を身に付けるとともに、ボランティア・リーダーや野外活動指導者に必要な力を身につけることができます。
今年度の受講学生4名が前期全3回の講座に参加しましたのでその様子をお伝えします。

受講生たちは、後期に実施されるキャンプ(小学生対象)を企画・運営します。
前期はそのための知識・技能の修得と、企画・立案を行いました。
例えば第1-2回は青少年教育施設の現状、青少年教育の重要性、ボランティアの意義などの講義を受けました。
また、アイスブレイク、野外炊事、海辺の生物観察の実習も行いました。

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「楽しむ側」としても体験する一方で、「企画者」や「指導者」としての実施方法や安全対策について実践的に学びました。

第3回では、後期に実施するキャンプの内容を企画・立案しました。
第1−2回で身についた野外活動の知識や技術を実際のプログラムに反映させていく行程です。
子どもを取り巻く課題を考え、それに沿った目的となるように、長い時間をかけて話し合いを行いました。

今回の実習では技能や知識を身につけただけでなく、交流の家の専門職員の方々や他大生とのコミュニケーションのなかで、自分の長所や短所を改めて実感するといった場面もありました。
後期のキャンプ本番に向け、夏休みの間にも打ち合わせが続きます!

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