人文学部 国際英語学科 ニュース

芸術文化フィールドワーク 現地レポート③
社会系

2017年度芸術文化フィールドワークでは、2週間かけて伊勢・熊野・高野山・明日香・奈良・京都をめぐります。

学生による研修レポートをお届けします。研修4・5日目は、和歌山県に入りました。

4日目 9月7日

昨晩泊った「越の湯ホテル」は、今回の事前学修でみんなで読んだ日本画家の1967年の日記に登場する宿です。画家中庭煖華さんは家族旅行で来て、私たちと同じく那智の滝を見たあと、勝浦・白浜に1晩ずつ泊っています。今回、今日と明日の2日間はその足跡をたどることにして、まず、勝浦観光桟橋から遊覧船に乗り、松島めぐりをしました。

9月7日 勝浦 松島めぐり-r.jpg

日記の中には船上から見た「紀の松島」と呼ばれる勝浦湾の奇岩がスケッチされていますが、当時のままのラクダ岩や洞穴のある岩などを見ることができました。

9月7日 勝浦 松島めぐり ラクダ岩-r.jpg

この煖華さんは兵庫の山間部の生まれで、東京に出た後、奈良斑鳩に住んだ人物だそうです。広島に住む私たちには島がいくつも浮かぶ海は身近ですが、海なし県の奈良から来たら物珍しいのでしょう。

その後、街角にある足湯に少し浸かり、紀伊勝浦駅前に一旦戻りました。昼食は駅前のお食事処「山賀」で、解凍ではない生のマグロのトロや赤身、中落ちなどが載ったミックス丼を食べました。マグロの産地だけあっておいしくいただきました。

そこから特急で串本駅に向かい、江戸時代の絵描き長沢芦雪の襖絵が有名な無量寺で、本堂や収蔵庫の作品を鑑賞しました。

9月7日 串本 無量寺-r.jpg

そこから町営コミュニティバスで潮岬へ向かいました。本州最南端の岬は風が強くて、太平洋ははるか水平線まで島影ひとつなく、瀬戸内海に育った私たちにはこちらの方が新鮮でした。

9月7日 本州最南端 潮岬-r.jpg

どこもかしこも、本州最南端の郵便ポストとか、最南端の灰皿とか書いてあるのが可笑しかったです。潮岬灯台も見学し、灯台に登りましたが、先生は昨日、那智の青岸渡寺でせっかく買ってきた杖を灯台の階段わきに立てかけたまま、忘れて帰りました。本州最南端の杖かもしれません。

串本駅に戻ってから、電車までの間に、橋杭岩を見に行きました。

9月7日 串本 橋杭岩-r.jpg

特急くろしお30号で白浜へ向かい、白浜館に到着しました。ここも画家さんが家族で泊った宿ですが、越の湯と同じく当時とは経営も変っていて、面影はあまりなさそうです。明日も煖華さんの見た白浜周辺を見る予定です。

2年 小山夏実

5日目 9月8日

朝から快晴に恵まれました。白浜館の目の前が白良浜で、事前学修で講読した画家中庭煖華さんの1967年の日記には、この宿の玄関に生けられた生け花や部屋から見た白砂青松の景色のスケッチもあります。まずは白良浜へ行きました。白い砂浜に緑の松、青い空との取り合わせは素敵でした。砂が白くて細かいせいか、海の色もきれいでした。近くにある熊野三所神社では昭和天皇行幸の折の御座船が保存されており、また、火雨塚古墳もありました。古くは奈良時代にも天皇や皇族がこの近くから上陸したそうです。とても歴史を感じる場所でした。

9月8日 白砂青松の白良浜-r.jpg

そこから徒歩で円月島を目指しました。波の浸食作用でぽっかりと穴の開いた巨大な岩で、事前に見てきたガイドブックでも紹介されています。煖華さんは円月島を見ることも旅の目的だったようで、スケッチしていますが、意外にも歩いているうちすぐに見えてきました。

9月8日 円月島-r.jpg

ともかく画家さんと同じ視線を目指そうと、近くに向かいましたが、日記にある通り、京都大学の水族館付近まで来ると、側面になってしまい穴は見えませんでした。ただ、横から見ると、とても大きく迫力がありました。

今度はバスに乗って三段壁まで行き、千畳敷まで歩きました。三段壁はテレビの2時間サスペンスドラマに出てきそうな絶壁の奇観で、千畳敷は平らな岩が海に向かって延々と広く張り出した海岸です。風がとても強く歩くのも大変でしたが、絶景でした。

9月8日 千畳敷-r.jpg

白浜駅から特急くろしお号に乗り和歌山乗り換えで橋本、そこから極楽橋まで南海電車で移動しましたが、極楽橋から高野山駅まではケーブルカーに乗りました。高野山駅からはバスで高野山に入り、千手院橋バス停で降りて、徒歩で今晩泊めていただく高野山報恩院へ到着しました。途中、いくつもの山内寺院や霊宝館、壇上伽藍のわきを通りましたが、明日、明後日見学する予定です。夕食は大広間で御膳に載った精進料理をいただきました。ごま豆腐・高野豆腐などがあり、天ぷらの中に酒粕があったのは珍しく、初めて食べました。

9月8日 高野山大門-r.jpg

いまは夜も更けてきました。時おり、寺の鐘が鳴るのが聞こえます。煖華さんの日記の通り、半世紀前と変わらず、宗教都市なのだと感じます。

4年 石橋瑠香

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旅は高野山に続きます。

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