人文学部 日本文化学科 ニュース

学習者に「楽しい!」と感じてもらえる授業をするには?2022年度日本語教育実習報告
日本語教育

2022年10月17日~21日の5日間、「日本語教授法Ⅲ」の受講生2名が、広島市内の日本語学校で日本語教育実習を行いました。主な活動は、授業見学、教壇実習の準備、教壇実習の3つです。10月26日の「日本語教授法Ⅲ」の授業では、学生たちに今回の実習報告を行ってもらいました。

まずは、使用した教材や教案を見せてもらいながら、どのような活動を行ったのかを簡単に説明してもらいました。

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このあと、実習に関する私の質問に答えてもらいました。

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今回、二人は、教壇実習で初中級の学習者を対象とした聴解の授業と文法の授業を担当しました。いずれも苦労したところは、学習者が新しく習う文型の導入でした。文型を教える授業では、習った文型が「言える」ようになるための口頭練習や「使える」ようになるための会話練習を行います。導入は、そのような練習に入る前に、その文型の使い方に関する知識を身に付ける部分です。

具体的にどんなところが大変だったのかをたずねました。

3年生のゴ ゴック カインさんは、自身が担当した授業の導入で、新しく習う文型を使った発話を学習者から引き出すための質問をしたところ、期待した答えが返ってこなかったことがあったそうです。そのときは、自分と関わる例文を示して意味を理解してもらうことができたそうです。

同じく3年生の横尾百香さんは、今回の実習をとおして、授業内でどんな練習を行うのかということから逆算して導入を考えることが必要であることを学んだそうです。

このほか、
「これまでは教案を作るときに文法をわかりやすく教えることばかり考えていたが、学習者に楽しんでもらえる活動を考えることも大切だと知った」
「学習者の質問に対して、答えを一方的に教えるのではなく、学習者に考えさせながら答えを導くことが必要であると気づいた」
「先生は学習者をたくさんほめて学習者に自信を持たせていた」
「先生の雑談もただの雑談ではなく、実はその日の学習項目と関連づけられていた」
「人前で話すことはあまり得意ではなかったが、実習をとおして人前で話すことに自信を持てた」
といった意見が出されました。

最後に、今回の実習を終えての感想をたずねたところ、二人とも晴れやかな表情で「楽しかった!」「今回お世話になった先生方に心から感謝しています」と言っていました。

これらの報告から彼女たちが主体的な学びをとおして新たな視点を得られたこと、またそのことをとおして大きな達成感を得られたことがわかりました。お世話になった日本語学校の先生方には、今回このような貴重な経験の場をいただけたことを心より感謝申し上げます。

二人は、現在、広島女学院大学の「日本語教授法Ⅲ」の授業で引き続き中級学習者用の教材分析を行っています。また、2年生を対象とした「日本語教授法Ⅰ」では、来年度、実習に参加する予定の受講生の教材分析、模擬授業が始まりました。彼女たちも来年の実習に向け、必要な知識とスキルを着実に身に付けていってほしいと思います。私もそのためのサポートをしっかり継続していきたいと思います。

(文責:渡邊ゆかり)

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