人文学部 国際英語学科 ニュース

授業紹介アーカイブ

この週末6月19日(日)に広島女学院大学では、夏のオープンキャンパスの一回目を行います。そこで、国際英語学科で新たに学生スタッフとして活動を始めた "POLARIS(ポラリス)" と、彼女たちの準備の様子を紹介したいと思います。

高校生の皆さん、こんにちは。国際英語学科のオープンキャンパス・学生スタッフ "POLARIS" です。
このチーム名 "POLARIS" は「北極星」を意味します。私たちが北極星のように中心に立ち、オープンキャンパスに来てくださる高校生や保護者の皆さんとコミュニケーションを取ることで、星が広がるようにつながりを作りたいと思ったのが由来です。

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リハーサル中のPOLARIS

6月19日(日)に開催される第一回オープンキャンパスでは、私たち "POLARIS" が英語を使ったゲームを企画し、行います。ぜひお越しください。

高校生の皆さんに楽しんでもらおうと、POLARISメンバーも試行錯誤しながら練習を重ねています。ぜひ、大学生と一緒に楽しく英語を使って話せるオープンキャンパスにお越しください。

たくさんのご来場をお待ちしています。

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今回は、国際英語学科の魅力ある授業を紹介します。

「地域連携文化セミナーⅠ」は、地域との連携を主眼に置き、学生が課題を自ら発見し、その解決に向けて実践することを目的としています。今年度は広島女学院ゲーンス幼稚園のご協力のもと、学生の実地体験を行います。
今回の記事では、実地体験の事前学習として、調査を行い、調査報告書の作成と報告発表会を行った様子をご紹介します。

学生たちは、まず以下の7つのテーマについて調査を行います。

①地域連携とは
②幼稚園・保育園・こども園における教育・カリキュラム
③小学校低学年における教育・幼小保連携
④広島女学院ゲーンス幼稚園
⑤キリスト教主義に基づいた保育・教育
⑥幼児の発達心理学、幼児の発育・成長
⑦フレーベル・ルソー・ペスタロッチの教育観

事前調査学習では、図書館を活用し、テーマに即した文献を自分の目と手で選ぶところから始めました。

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本学の図書館でテーマに関する本を選ぶ様子

各自が2~3冊の書籍等を選び、それを読み、重要な情報や知識を得て、調査報告書としてまとめます。

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選んだ本を読み、まとめ、考えを深めます

全員の調査報告書は1つのファイルにまとめ、共有し、さらに図書館のプレゼンテーションルームを活用して報告発表会を行いました。それぞれの学びを交流することができ、一人の学びが何倍もの学びや知へとふくらんでいきました。

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調査報告発表会で学びを共有します

発表会では他者評価・自己評価を行い、評価の「眼」を養う活動にも取り組みました。

最後に、各自が「自分の成長」を切り口に事前学習全体のリフレクションを行いました。学生のコメントをいくつかご紹介しましょう。

〇子どもとの向き合い方を考え直したり、幼稚園のカリキュラム等について理解することができたりした点において成長しました。

〇本やインターネットから得た多くの情報を整理し、自分が伝えたいことをまとめる力をつけることができました。

〇以前よりも子どもに関する教育や発達についての分野に興味を持ち、これまでは聞き流したり見逃したりしていた用語や話題に気が付けるようになりました。

〇新たなジャンルの情報にアンテナを張ることができるようになり、理解を深めようとする姿勢を持つことができるようになったのは、自分の中で大きな成長であると感じました。

〇書物で吸収した、ルソーの教育に関しての理解しがたい考えについての自分なりの解釈が正しいかどうか、別の資料を用いて確認するなどして、複雑な内容を理解することができた時の快感は、苦労以上の価値があると改めて感じました。

〇さまざまな地域連携の形や思想家たちの教育観など、新しい知識を増やすことができました。

〇事前学習を通じて、子どもの発達だけでなく、子どもの心理やその心理について説いてきた人たちの思想を知ることができ、面白かったです。

しっかりと事前学習をし、実地体験に向けて準備万端です。体験の様子はまた後日お伝えしたいと思います。はたして、理論と実践の往還を実感できるでしょうか。お楽しみに!

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3月に入り、卒業式のシーズンを迎えました。今回の学科ニュースでは、この春卒業する英語文化コースの2名の学生に卒業論文の執筆を通じて学んだことや、どんな苦労があったのか、どうやってテーマを決めたのかなどを紹介してもらいます。

国際英語学科では、さまざまな社会問題を映画や小説などを通して学び、考えます。2020年5月にアメリカのミネソタ州ミネアポリスで発生した黒人男性を白人警官が死に至らしめた事件は、記憶に新しいと思います。この事件を契機に"Black Lives Matter"(黒人の命は大切)、いわゆる「BLM運動」が活発化し、アメリカ文化を学ぶ学生の卒業論文でも多く取り上げられました。

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M.Kさんは、ディズニーのアニメ映画を題材として人種問題について考察しました。

「私は卒業論文において、19世紀後半から1960年代までアメリカに存在した、一般公共施設を白人用、黒人用に分離するジム・クロウ法により黒人差別が激しかった時代と、ジム・クロウ法が廃止された後の時代である2020年までの黒人差別の違いについて、主にディズニー映画を用いて考察しました。ジム・クロウ法が存在している1941年に公開されたアニメ版『ダンボ』では、黒人をステレオタイプ的に表現したカラスや、白人によってサーカスで労働を強いられる黒人が登場し、黒人差別を直接的に描いていました。」

「しかし、2009年に公開された『プリンセスと魔法のキス』では作品内に登場する人間や生き物達の苦境を通じて、黒人の夢の実現の困難さを描くなど、黒人差別を間接的に描いた場面が多くありました。この違いは、時代や人々の黒人差別に対する考え方の変化により、差別の原因となる黒人のステレオタイプ的キャラクターを使用せず、黒人差別についても直接的に描きすぎないよう配慮するようになったことを学びました。」

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卒業論文の題目は、「今も続くアメリカの黒人差別―南北戦争からBlack Lives Matterまで」

「作品を何度も見返し細かい部分まで深く考察することや、どうしたら自分が思っていることを上手く伝えられるのか、納得するまで何度も文章を書き直したことは苦労したことでもあり、頑張ったことでもあります。しかし、もっと計画的に書き進めていればさらに考察を深められたと後悔しています。後輩の皆さんは、そういった後悔が残らないように計画的に卒業論文を書き進めていってください。時には思い通りに進まず挫けそうになるかもしれませんが、きっと完成した時頑張ってよかったと感じると思います。」

次に、Y.Y.さんは実話をもとにしたアメリカ映画も取り入れて差別問題について掘り下げました。

「さまざまな人種が共存して暮らしているアメリカにおいて依然として存在する人種・性差別について、ディズニー映画やアメリカ映画を用いて、アメリカの歴史と比較しながら論じました。第1章の『ダンボ』では、アニメ版と実写版を比較して1940年代と2010年代のアメリカの時代背景の移り変わりを考察しました。人種差別が浮き彫りとなっているアニメ版と比べ、実写版では経済格差や性差別が取り上げられていることが分かりました。」

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「アメリカ映画から見る人種差別」と題して論文を執筆しました

「第2章の『ラビング~愛という名前のふたり~』では、異人種間結婚が法律で禁じられていた1950年代のアメリカを舞台に愛を貫いて裁判に立ち向かう、白人男性のリチャードと黒人女性のミルドレッドのラビング夫妻の奮闘について考察を行いました。このラビング裁判を通して、アメリカが多様性を認める国に変化していく様子が読み取れます。実際に、アメリカでの異人種間の国際結婚の割合は年々増えています。第3章の『ズートピア』では、男性を連想させる力強い肉食動物と女性を連想させる可愛らしい草食動物の間で巻き起こる差別や偏見について考えました。また、事件を裏で操っていた真犯人は力がないと思われている草食動物の羊であり、視聴者である私たちの中にもある目に見えない差別や偏見も感じさせる映画でした。先入観を振り払い、差別や偏見を乗り越えるウサギのジュディとキツネのニックを通して社会の多様性を認めるよう訴えている映画であることを論じました。」

「第1章から第3章まで、幅広い世代に親しみのあるディズニー映画や、実話を基にしたアメリカ映画を用いることで、私たち視聴者にアメリカで起こる差別が身近なものとして捉えられることがわかるように論じる工夫をしました。私がテーマを決める際に大切にしたことは、興味がある分野であり、自分が楽しみながら学べるテーマであることです。卒業論文は3年生から4年生にかけて、約2年間の時間をかけて取り組んでいくので、テーマ設定をする際にはぜひ時間をかけて何を大切にするか考えてみてください。」

2021年度は新型コロナウイルスの影響も大きく、急遽オンライン授業となり、図書館で調べ物をするのも難しい時期もありましたが、オンラインで閲覧できるウェブ・データベースを利用して参考文献を集めるなど、学生たちはそれぞれ工夫して卒業論文を書き上げることができました。

大学生活の集大成である卒業論文を無事に完成させ、卒業を迎えた皆さん、本当におめでとうございます!

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