人間生活学部 管理栄養学科 ニュース

ゼミアーカイブ

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妻木ゼミでは、「食物アレルギー」をテーマに研究をしています。

食物アレルギーは、食物に含まれるたんぱく質に対して免疫が過剰に反応して起こる疾患です。食物アレルギーの患者さんは、アレルギーの原因となる食品を除去しなければなりません。しかし、除去をすることで、栄養素が不足したり、献立に偏りが出てしまいます。

そこで私たちは、美味しくて、栄養も摂れる食物アレルギーに対応したレシピを考えて患者家族への情報提供を行っています。

卵・牛乳・小麦・そば・落花生・えび・かにを除去したレシピの考案

ピザランチ

米粉の生地で作ったピザと、カラフルサラダ。野菜たっぷりランチでビタミンやカルシウムなどの栄養素も補えます。

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オムライス風

見た目はオムライスだけど、卵の部分はかぼちゃのペースト。かわいくアレンジできます。

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プリンアラモード

豆乳で作ったプリンに、豆乳ホイップをトッピング。飾り切りをした果物で、子ども達も喜びます。

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食物アレルギーっ子のデイキャンプ

毎年夏休みには、「食物アレルギーっ子のデイキャンプ」を開催しています。

食物アレルギー患者家族を対象に、食育レクリエーションやおやつ教室、ランチの提供を行っています。今回で9年目を迎えました。

今年度は、妻木ゼミのOGのほか、3年生もボランティアで手伝ってくれました。

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今年度のデイキャンプの様子はこちらから

卒業研究

食物アレルギー患者家族の現状を把握するため、食事内容や生活習慣などを調査しています。今年度は、食物アレルギー対応食品の扱いについて市場調査を実施しました。

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一方、食物アレルギーの発症メカニズムについても研究しています。

食物アレルギーが起こる原因物質にヒスタミンがあります。このヒスタミンが体内でどのように作られているのか、ラットの細胞(RBL-2H3細胞)を用いて、ヒスタミンの合成能やアレルギー関連遺伝子の発現を解析しています。

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このように、妻木ゼミでは、社会科学・自然科学の両面から食物アレルギーを研究しています。

食物アレルギーは子どもに多い疾患です。保育園や小学校はもちろん、地域全体で食物アレルギーについて理解を促すことが必要です。私たちは将来、管理栄養士として、どう患者家族へ支援ができるか、研究を通して考えています。

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 2017年度の4年生最後の卒業論文発表会が、12月2日(土)に盛会に開催されました。 開催にあたり、学科主任の渡部佳美先生から挨拶を頂きました。

4年生は、今まで、管理栄養学科で学んだ多くの知識を生かし、そして4年生で1年間研究をしたことを、教員や下級生の前で堂々と発表してくれました。

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 発表後は、教員や下級生から多くの質問がありましたが、今まで研究してきた経験や考察、そして多くの文献を検索した知識をもとに、自分の言葉でしっかりと答えることができました。

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 すべての卒業論文の発表が終わり、やっと緊張感から解放されました。広島女学院大学の4年間の女子教育の中で、たくましく育っていました。広島女学院大学の伝統の"凛"とした態度を引き継いでいってくれることでしょう!

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 最後に課程主任の妻木陽子先生から、発表を終えた4年生にお言葉頂きました。 頑張った4年生へ、次のお話をしてくださいました。

「皆さんが頑張った卒業論文は、世界で一つしかない研究です。この卒業論文を皆さんの宝物にしてください!」と、とても心にしみる言葉でした。

そして、「卒業論文は終わり、皆さんの一つの任務は終わりました。 しかし、あなた達にはもう一つやるべきことがあります。管理栄養士の国家試験に合格することです!」

 課程主任の妻木陽子先生も広島女学院中学高等学校、そして広島女学院大学を卒業された先生です。広島女学院の伝統である優しさ・寛容さと厳しさの両面を持ち、とても"凛"とされていました。 さあ、みんなで国家試験に合格して、最後は笑顔でお別れしましょう!

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【2017年度卒業論文の内容】

□ 消化管の生体防御機構について

給食調理における手洗い遵守率の現状と課題

真空調理法で用いられる低温加熱の熱殺菌効果

食物臭の温度差による気分の快・不快の変化の検討

食材(固形物)への微量アンモニア混入に対するニオイの感じ方の違い

□ 幼児期における咀嚼能力向上への食育の検討

水中競技選手における栄養管理

広島市学校給食献立の変遷と今後の食育における役割

凍結含浸法を用いた食肉軟化にたんぱく質分解酵素含有食材が及ぼす影響

□ 夜遅い食事は歯周病のリスクを上げるか? ~食事の質と摂取時刻の比較研究(1)~

野菜廃棄部位における生育可能性の検討

カタクチイワシの塩蔵および油漬に伴う熟成

トランス脂肪酸による細胞増殖と細胞死の誘導について

長期高ヒスチジン培養条件下におけるRBL-2H3細胞のヒスタミン産生およびアレルギー関連遺伝子発現に及ぼす影響

小児食物アレルギーデイキャンプでの取り組みと課題~第9報~店舗によるアレルゲン除去食品の取り扱いの実態と地域差の把握

□ 具や吸い口を加えた汁に飯を組み合わせた時の許容できる汁の塩分濃度の下限について

治療食献立における料理に使用される牛乳の使用状況および使用の有無が栄養素の量に及ぼす影響

□ 餡練り時間が餡のテクスチャーに及ぼす影響

広島風お好み焼きの焼成過程におけるにおいの変化

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市川ゼミでは、「夜遅い食事は歯周病のリスクをあげるか」というテーマで、食事の質と摂取時刻が歯肉の炎症に与える影響について研究しています。学内の学生から被験者を募り、20代女性が平均的に摂取している食事(高脂肪食・低食物繊維食)と、日本人が健康のために摂取すべき栄養量を満たしたバランスのよい食事の2 種類を、1 日3 回規則正しく食べる場合と夕食を夜遅く食べる場合の4 つの組み合わせで比較しました。

こちらは試験食を調理している様子です。

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朝食や夜遅い時間の食事は自宅で食べてもらうので、持ち帰りできるよう料理を真空パックして、冷蔵または冷凍保存をして提供しました。

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左側はバランスのよい食事で、右側が高脂肪・低食物繊維食です。どこが違うかわかりますか?

バランスのよい食事は主食を玄米ご飯とし、野菜が1 日350g 以上、食物繊維は20g 以上とれるように考えました。高脂肪・低食物繊維食では主食を白ご飯やパンにして、野菜料理が1 品少なく、油を多く使う料理を組み合わせました。
試験食の栄養条件に合わせて献立を考えるのはとても大変でしたが、毎日、被験者の食事を準備するのも試行錯誤の連続でした。

さらに・・・
8 月のオープンキャンパスでは、500 円で健康なランチを選んでもらうチャレンジ体験を行いました。
参加者の皆さんが選んだ料理の栄養計算をして食事のバランスをチェックしたり、買い物や普段の食生活で気にかけてほしいことなどについてお話しました。
高校生だけでなく、一緒に来られた保護者の皆様にも楽しんでいただけて私たちもやりがいを感じました。

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現在は12 月の卒論発表に向けて、研究データをまとめて卒業論文を作成しているところです。
少人数で大変な面もありますが、みんなで協力して毎日過ごしています。

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野村(知)ゼミの現在の卒論テーマは大きく2つです。今回は、そのうちの一つ「ソースの焼成によるにおいの変化」の卒論についてご紹介します。

nomura.jpg野村知未ゼミソースが焦げる香りは、食欲をそそりませんか?「美味しさ」に関わる要因は様々ですが、「におい」は食べる前に美味しさを判断するものであり、食行動を起こすか起こさないか、重要な因子となります。そこで現在は、「焼きそば」を試料として、ソースが鉄板で焦げていく過程の香りの変化について研究をしています。実験結果の再現性を高めるため食品試料の大きさや、加熱温度や時間等、調理条件を詳細に検討し、試料調製時は緊張感が高まります。実際は,写真のように試料調製した焼きそばの「におい」を回収し、機器分析を行います。この写真は、オープンキャンパスの際に実験内容をまとめた物をポースターで紹介しました。

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実験はもちろんですが、現在の研究テーマに関係する論文を読むのも卒業論文執筆にむけた大切な準備です。こちらの写真は週に1回ゼミで行っている論文輪読会の様子です。
今年のゼミ生は8名です。性格はそれぞれ違うけど、みんな調理するもの食べるもの大好き!食べ物の話になると、話がはずむ元気いっぱいの8名です。

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卒業論文をまとめることも大切な仕事ですが・・・

nomura5.jpgもちろん、来年3月の管理栄養士国家試験に向けて、毎日、勉強だって頑張ります!

今年の夏(7月10日)に行われたオープンキャンパスでは、チャレンジ体験「ふわふわ大作戦!~美味しいカップケーキはどう作る?」を担当しました。ケーキがオーブンの中でふっくらと膨らむにはどんな科学的根拠があるのか。難しすぎず高校生へ調理の理論を楽しく学んでもらえるようよう、何度も試作をして説明用のスライドも本番に向けてブラッシュアップしていきました。
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「カップケーキの材料、卵を泡立てることでその泡一つ一つが180℃のオーブンで約1.5倍に膨張してオーブンから出てきたカップケーキはふわふわに大変身。気泡は絶対温度に比例して膨張するよ、生地を混ぜるときにはこの卵の泡を潰さないように練らないように混ぜることが大事ですね」迎えた本番、高校生がとても楽しそうに参加くださいました。
普段何気なくしている調理ですが、温度やpHなどの変化によってそこにはたくさんの化学変化が起きています。料理を実験対象としますので、再現性ある実験試料調製には少し辛抱が必要ですが研究は楽しいですよ。

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野村(希)ゼミでは、『疾病治療を目的とした食事』に関する卒業研究に取り組んでいます。

テーマ①「汁物に飯を組み合わせた時の汁の塩味の嗜好性」

これは、主に血圧の高い方や心臓に疾患がある方等に勧められる「減塩食」に関する研究です。「減塩食」は、継続的に摂取する必要がありますが、「薄味にしても美味しく食べられる」塩分濃度の範囲は明らかではありません。そこで、1食あたりの塩分量が多いことから敬遠されがちな汁物を取り上げ、汁物の許容できる塩分濃度の範囲を把握することを目的に、ここ数年継続して取り組んでいます。

具体的には、同級生や下級生に協力してもらい、汁に飯を組み合わせて食べた時の、汁の『塩味の感じ方』や『塩味の好まし
さ』を答えてもらう検査を行っています。味の感じ方は様々な条件で変わるため、同じ条件で検査ができるよう練習を何度も行い準備します。検査が始まると、正確な塩分濃度の汁をタイミングよく提供するため、進行状況をみながら作業を進めます。一度の検査ですぐに結論が出るものではありませんので、検査を繰り返し、データを積み重ねています。

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DSCN0703.jpgテーマ②「治療食献立の栄養量に影響をおよぼす要因の検討」

疾病治療を目的とした食事は、1日のエネルギー量や栄養素量が治療ガイドラインによって示されています。しかし、献立内容は毎日異なるため、エネルギーや栄養素の量は一定ではありません。 この研究では、患者さんにとって身近な市販献立本に掲載された献立を資料として、治療食の1日ごと、1食ごとのエネルギーや栄養素の量および変動幅と、それらに影響をおよぼす要因について明らかにすることを目的に検討を行っています。これまでに、糖尿病の治療食では献立作成方法の違いにより、栄養素量に差が生じることを明らかにしました。今後は、食品の使用頻度や、使用の有無による献立内容の違いについても解析し、これらが患者さんの食習慣にどのように影響するかという視点からも検討を進めたいと考えています。

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ゼミ生は仲が良く、楽しむ時は賑やかですが、卒業研究ではしっかり切り替えて、コツコツ取り組んでいます。

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