人文学部 日本文化学科 ニュース

先月の海外実習に引き続き、11月に入って国内の実践実習がスタートしました。(※国内実践実習は、人文学部の「日本語教授法Ⅱ」「日本語教授法Ⅲ」に引き継がれる予定です。)

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今回の日本語学習者は、本学で「日本語Ⅱ」の授業を履修しているタイ、ベトナム、韓国、中国の留学生6名です。留学生のみなさんは、日本以外の国から来た学生同士の交流を日本語で行うことを楽しんでいます。違う国籍の人たちが混ざっているクラスは、共通語の日本語を使わないと、異なる国の留学生とコミュニケーションができないので、自然と、日本語を使う量は多くなります。留学生にとっては、日本以外の国の文化も学べるし、なかなかよい学習環境だと思います。

さて、本題の国内実習ですが、今週は、先週の「問い合わせのメール」に引き続き、「お願いのメール」の書き方についての授業をしてもらいました。海外実習の時の日本文化紹介とは異なり、今回は一人で教壇に立って授業を行います。

実習生たちは、毎回、留学生の積極的な発言に助けられながらも、なんとか、授業を乗り切っています。授業では、学習者からの予期していなかった質問に戸惑う場面もありますが、実際の日本語教育の現場を知る上でとてもよい経験ができたのではないかと思います。実習生の授業は、あと3回。

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みなさん、大変緊張されているようですが、無事乗り切ってくれることと信じています。

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10月16日から10月23日まで、日本語教員養成課程4年生の海外日本語教育実習が、中国の厦門理工学院で行われました。厦門理工学院で実習を行うのは今回が初めてです。中国福建省厦門市にある理系の大学です。外国語学部もあり、日本語学科の学生たちが日本語、日本文化を勉強しています。今回は、日本語科の授業を見学したり、日本語科の学生さんたちに日本の文化の紹介を行ったりしました(この実習旅行は、人文学部3年生の海外文化研修Ⅲに引き継がれる予定です)。

最初の写真は、5月28日に行った日本文化紹介についてのミーティングの時の写真です。どんなテーマにしたら、勉強になったと思ってもらえるのか、喜んでもらえるのか、話し合っています。

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次の写真は、10月17日に行った日本文化紹介の様子です。今回のテーマは、和食と日本の恋愛の2本立てです。まずは、和食を取り上げました。日本食と和食の違いや、配膳の仕方、お箸の使い方を紹介しました。厦門理工学院外国語学部には、外国語の種類ごとに文化教室が設けられています。このお部屋は、日本文化教室です。左側に茶室が見えます。本学の授業の直前まで、日本人の先生による茶道の授業が行われていました。

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この日は、日本文化紹介の前に、中国の文化も体験しました。テーマは、中国結です。中国文化のサークルの方たちが、英語で中国結のプレゼンを行ったのち、中国結を体験しました。難しかったですが、みなさんとてもやさしく丁寧に教えてくださり、すてきな中国結が完成しました。次の写真はその作品の一つです。

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今回の実習旅行では、4つの日本語の授業を見学したほか、厦門市の名所を観光しました。次の写真は世界文化遺産に登録されたコロンス島の町の様子です。租界時代に作られた中洋折衷の建物が特徴的です。

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お気に入りの場所の一つはこちらの写真。集美学村という文教地区です。陳嘉庚という実業家の方が中心となって作られた学校が集まっています。学校の建物がやはり、赤と白を貴重とした中洋折衷で湖からの眺めがとても素敵です。なお、これらの学校は、今現在使用されているものです。

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最後に、お気に入りの一枚。帰国一日前に、ボランティアの学生さんたちに曾厝垵というところに連れていってもらいました。写真は、近くの海岸でとった写真です。夕日をバックにハートのポーズで写真を取りました。

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実習旅行の様子は、課程担当主任の渡邊が管理する日本語教員養成課程オリジナルブログでも紹介していますので、こちらもどうぞ御覧ください。

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10月5日(金)、京都リサーチパークで開催された、産学協同ポスターセッションで、国際教養学科2年生の前川結香さんと平嶋ゆきさんが発表しました。日本を代表する企業の方々と他大学の上級生の中での、プレゼンテーションでした。

前川結香さんの発表題目は、「瀬戸内しまなみ海道の方言のリアル」。この夏の日本語フィールドワークでの実地調査を踏まえての発表です。教科書をはじめとする文献に示されている方言の境界線と、自身の実地踏査によって得た方言分布のデータが異なっていることを、しまなみ海道の地図や実地調査の結果をポスターで示しながら伝えました。4つの島ごとの備後方言と伊予方言の使用状況を示した表が効果的で、これは後の質疑応答の論議につながっていきました。座学のみに終わらず、現地に足を運んで調べ、それを元に自分自身が先行研究に照らして考え、そして発信することの大切さが、よく伝わる発表だったと思います。

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平嶋ゆきさんは、「満足度UPで外国人旅行者6,000人を実現しよう」と題してポスターセッションを行いました。この発表にもスウェーデンとフィンランドでのフィールドワークで学んだことが生かされています。平嶋さんのポスターでは、使用する色も聞き手の反応を考えて吟味されていました。また、中心となるポスターに加えて、強調点をクローズアップした補助資料の掲示も工夫点です。「QRコードを多言語対応に」というメッセージが次の企業の方々の発表テーマに結びつくものでもあり、続いて話された方々が発表内容を随所で引用してくださり、この点でも場にふさわしいテーマ選びであったと感じています。

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質疑応答の時間には、二人ともたくさんの質問やアドバイスをいただけ、活発で和やかなやり取りを通して学びが深まったのも、うれしいことでした。二人の発表内容と発表する姿から、広島女学院大学の学びの特色が、聞いてくださった方々に伝わったと実感しています。また、他の方の発表に対して積極的に質問もでき、自由閲覧の時間には多くの企業人の方々と交流できたのも大きな収穫でした。

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発表に慣れた他大学の上級生と名前をよく知っている企業で活躍されている方々、そして経験豊富な有識者に囲まれての発表とあって、たいへん緊張し、発表まではどきどきで、また食事もあまり食べられなかったようですが、二人ともそんなことを感じさせない立派な発表でした。難しい質問にも間を置くこともなく即時に答えていたことも印象的です。聞いてくださった方々からのうれしい評価と励ましの声もいただいています。同時に、洗練された内容の各企業のポスターや上級生の流暢な発表から、学内の井の中の蛙にとどまらず、学外に出て刺激を受けることの大切さにも気づかされ、授業での発表がよくできたと自己満足していてはいけないと痛感したそうです。チャンスを生かし、実の場での発信に自ら取り組んでこその貴重な気づきです。

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テクニカルコミュニケーター協会会長の綿井雅康先生は、講評で、学生発表を評価してくださった後で、次のようにおっしゃいました。「聞くというのは、受け入れることではなく、聞き手が自分の頭の中にストーリーを作ること。聞き手にどんなストーリー(作文)を作らせたいのかを意識して発表しないといけない。何を聞き手に残したいのかを考えて話すことが大切。よく分かっている人の説明が、実はいちばん分からない。9割9分は捨てて、整理して再構成して話さないと伝わらない。あれもしゃべりたい、これもしゃべりたいという気持をおさえて、逆算して聞き手に何を残したいかから構成を考えること。時系列そのままに話したりするのではなく、まず結論から、あるいは大事な事柄から、また、まず聞き手をつかんでから細部に入るなどの工夫が必要。」-聞くという行為の本質をふまえたこの貴重なアドバイスを、今後に生かしたいと思います。

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心配された台風の影響もなく、充実したセッションは盛会のうちに終了しました。会場を出ると、吹く風が心地よく感じられる、京の秋の夕暮れでした。 二人の発表と京都でのセッションで学んだことは、授業でもシェアし、他の学生のみなさんにも伝え、共有し、共に学びを深めたいと考えています。また、さらに多くの学生のみなさんが、様々なチャンスをとらえて、このような実の場で積極的に発信し、力を伸ばしてほしいと願ってやみません。

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