国際教養学部 国際教養学科 ニュース

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2017年度芸術文化フィールドワークでは、2週間かけて伊勢・熊野・高野山・明日香・奈良・京都をめぐります。
学生による研修レポートをお届けします。研修6・7日目は、高野山での調査です。

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9月9日
6日目は朝6時半からの高野山報恩院のお勤めに参加するため、早く起床しました。初めて聞くお経に自分の家の宗派との違いを感じました。

お勤めを終えて朝食をいただきましたが、後から先生から聞いたところによると、誰も残さず、ちゃんときれいに食べていたことを、お寺の若いお坊さんに褒められたそうです。8時から中庭煖華襖絵の調査を行いました。日記にはこの襖絵をここに泊りながら描いた記事があり、報恩院のご住職山口耕栄さんから、当時のことや高野山の歴史、お坊さんのお仕事などのお話を聞きました。襖の鶴の絵を実際に見てみると、鶴の足を描き直した跡や1匹1匹の鶴の表情の描き分けなどじっくり観察することができました。煖華さんは日記の中で制作上の工夫について書いていますが、足の執拗な描き込みがすごくて、見入ってしまいました。作品の寸法を測ったり、全体の撮影をしたり、落款(サインと印)や細部の撮影をしたり、初めての経験でした。ご住職は今年数えで86歳(満85歳)で、先生によると、高野山の中でも特に偉いお坊さんだそうですが、親しみやすく、とても優しい方でした。

11時に報恩院を出て、高野山を散策しました。まずは高野山の入り口「大門」に行きました。

9月9日 高野山 大門.jpg

大門からふもとまで続く町石道を少し歩いてみました。町石(1町ごとに建つ道しるべ)を見ながら壇上伽藍に向かいました。

壇上伽藍は広い台地に金堂、御影堂などいくつもの堂塔が配置されており、どこから見に行こうか迷ってしまうくらいでした。金堂には木村武山、大塔には堂本印象など、近代画家の壁画がありました。来年1月にはふくやま美術館で堂本印象の展覧会が開かれるそうで、見に行ってみようと思います。六角経蔵をみんなで回したのも面白かったです。

9月9日 高野山 壇上伽藍 経蔵.jpg

9月9日 高野山 壇上伽藍 三鈷の松.jpg

壇上伽藍を1時間程見て回った後は昼食を食べ、奥の院へ行きました。奥の院は約2kmの参道に20万基を超える墓石があります。参道を歩いてみれば、どこを見ても墓石ばかりで30分程歩き続けると燈籠堂が見えてきます。途中、石田三成や明智光秀、織田信長、豊臣家など歴史上有名な人たちのお墓も見ました。

9月9日 高野山 奥院.jpg

そこから、バスで千手院橋まで戻り、霊宝館へ行きました。霊宝館には様々な仏像が展示されていて、高野山が文化財の宝庫なのだと実感しました。そして今晩泊めていただく南院に向かいました。報恩院に置いておかせていただいた大きな荷物は、報恩院の副住職さんが車で運んでくださいました。南院も中庭煖華の日記に登場します。南院のご住職の奥様が出迎えてくださいましたが、日記に出てくるご住職の娘さんだそうで、南院の秘仏になっているご本尊浪切不動を中庭煖華が写した掛け軸「波切不動明王図」の調査をさせていただきました。この作品は今回、先生が問い合わせをして、初めて見つかったそうです。

9月9日 高野山 南院 中庭煖華作品調査.jpg

世界遺産高野山を満喫した1日でした。報恩院や南院などたくさんの方に親切にしていただき、お世話になりました。残り1週間のフィールドワークも無事に日程通りにこなすことができればいいなと思います。

2年 森岡彩

9月10日
今日は快晴でした。

南院を出て、すぐ裏手の徳川家霊台へ行きました。徳川家霊台は徳川家康と2代将軍秀忠を祀って3代将軍家光が建てたそうです。お墓というイメージではなく、建物に施された彫刻がきらびやかでした。細かな装飾を見て日本の職人技は素晴らしいと思いました。

9月10日 高野山 徳川家霊台.JPG

次に総本山金剛峯寺へ行きました。予約をしていたわけではないそうですが、西上崇さんという方が途中から案内してくださいました。特に興味深かったのは囲炉裏の間というところです。西上さん曰く、今でも使用していて、2月15日のお釈迦さまの亡くなった涅槃の日に向けて、前の晩2月14日からお坊さんたちがお堂にこもってお経をあげるそうですが、その間、寒い季節なのでお坊さんがたまに暖をとるために火をたくそうです。

9月10日 金剛峰寺.jpg

9月10日 金剛峰寺囲炉裏の間.jpg

台所では仏様に上げるお供え物の野菜を洗ったりするとき水を使用するため、床が簀になっているなど様々な工夫がされており、「暮らせる寺」だなと思いました。襖絵も美しかったです。

最後に、親王院に行きました。先生から、ここはもともと皇太子だった高丘親王が宮中のクーデターに連座して廃太子になり、弘法大師のお弟子になって開いた、由緒あるお寺だと説明を聞いてから向かいました。お参りする信者さん以外は、あまり拝観はしていないようですが、特別に見せていただくことができました。約束の11時よりちょっと早く着いたせいか、ご住職さんがなかなか出てこられませんでしたが、しばらく待っていると、襖の向こうから猫の鳴き声がします。外へ出たいらしく、障子の隙間から手を出していてとても和みました。その後、若いお坊さんが出てきてくださって、案内していただきました。中に入ると立派な襖絵や板戸に描かれた絵を多数拝見しました。蔵造りになっているお堂の中は電灯が無く、蝋燭と灯明の火のみで見るのは新鮮でした。歴史ある高野山の中でも珍しいのだそうです。
9月10日 高野山 親王院.jpg

ケーブルカーで極楽橋に下り、橋本、吉野口で乗り換えて、飛鳥駅まで来ました。駅前の明日香レンタサイクルで自転車を借りて、高松塚古墳、万葉文化館へ行きました。知らなかったことを見たり知れたりして、とても勉強になりました。
9月10日 明日香 亀形石造物.JPG

9月10日 明日香 天武持統天皇量.jpg

9月10日 明日香 高松塚古墳.jpg

9月10日 明日香 万葉文化館.jpg

夕食は一緒に来ている学生たちが、高野山の精進料理のあとだけに、肉が食べたいとリクエストしたので、みんなで焼肉に行くことになりました。今晩1泊する祝戸荘からかなり離れ桜井のお店だったので、長時間かけて自転車で行きました。行き帰り、明日香から桜井にかけてたくさんの史跡の前を通りました。体力を消耗したので、今日はよく眠れそうです。フィールドワークが始まってから今日で1週間が経ちました。残りの6日間も楽しみたいと思います。

3年 新酒美涼

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研修後半は、明日香、奈良、京都を旅します。

バックナンバー
芸術文化フィールドワーク 現地レポート③~和歌山
芸術文化フィールドワーク 現地レポート②~熊野
芸術文化フィールドワーク 現地レポート①~伊勢

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芸術文化フィールドワーク 現地レポート⑤~明日香

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国際教養学科では社会系メジャーの学生を中心に安芸太田町・加計商店街における地域活性化の取り組みをお手伝いしています。
※2018年度からは生活デザイン学科地域デザインにおいて同様の取り組みを続けます。

プロジェクトのメンバーは、この度、加計を拠点にアートギャラリーを営むmm projectさんが主催するイベント「アートでGo!まちに潜むアートを探す旅」のお手伝いをしています。
このイベントは、加計商店街の様々な場所に設置されている現代アート作品を、参加者自らが探しながら街を歩くというものです。

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学生たちはこのイベントで、当日の運営補助だけでなく、まち歩きのための地図の作成に携わりました。
加計でデザイン業を営んでいる方の多大なご協力を得て、街の魅力を盛り込んだ地図が完成しました。

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このイベントは広島県が主催する「さとやま未来博」とも連携しており、イベントの様子がHPにも紹介されています:
https://satoyama-mirai2017.jp/news/kokoproreport22.html

地図作成や運営補助に関わっている学生からは、「アートを探しながら歩くことによって街の新たな魅力にも気づくことができるというイベントはとてもおもしろかった。このようなイベントに少しでも関わることができてよかった!」という声がありました。また、「商店街の方が気軽に話しかけてくれ、街のあたたかさを感じた」という声もありました。

イベントは10月1日までの土日祝日に開催されています。
みなさんもぜひ、加計でアートを探しながら、街の魅力を再発見してみませんか?

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2017年度芸術文化フィールドワークでは、2週間かけて伊勢・熊野・高野山・明日香・奈良・京都をめぐります。

学生による研修レポートをお届けします。研修4・5日目は、和歌山県に入りました。

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9月7日
昨晩泊った「越の湯ホテル」は、今回の事前学修でみんなで読んだ日本画家の1967年の日記に登場する宿です。画家中庭煖華さんは家族旅行で来て、私たちと同じく那智の滝を見たあと、勝浦・白浜に1晩ずつ泊っています。今回、今日と明日の2日間はその足跡をたどることにして、まず、勝浦観光桟橋から遊覧船に乗り、松島めぐりをしました。

9月7日 勝浦 松島めぐり-r.jpg

日記の中には船上から見た「紀の松島」と呼ばれる勝浦湾の奇岩がスケッチされていますが、当時のままのラクダ岩や洞穴のある岩などを見ることができました。

9月7日 勝浦 松島めぐり ラクダ岩-r.jpg

この煖華さんは兵庫の山間部の生まれで、東京に出た後、奈良斑鳩に住んだ人物だそうです。広島に住む私たちには島がいくつも浮かぶ海は身近ですが、海なし県の奈良から来たら物珍しいのでしょう。

その後、街角にある足湯に少し浸かり、紀伊勝浦駅前に一旦戻りました。昼食は駅前のお食事処「山賀」で、解凍ではない生のマグロのトロや赤身、中落ちなどが載ったミックス丼を食べました。マグロの産地だけあっておいしくいただきました。

そこから特急で串本駅に向かい、江戸時代の絵描き長沢芦雪の襖絵が有名な無量寺で、本堂や収蔵庫の作品を鑑賞しました。

9月7日 串本 無量寺-r.jpg

そこから町営コミュニティバスで潮岬へ向かいました。本州最南端の岬は風が強くて、太平洋ははるか水平線まで島影ひとつなく、瀬戸内海に育った私たちにはこちらの方が新鮮でした。

9月7日 本州最南端 潮岬-r.jpg

どこもかしこも、本州最南端の郵便ポストとか、最南端の灰皿とか書いてあるのが可笑しかったです。潮岬灯台も見学し、灯台に登りましたが、先生は昨日、那智の青岸渡寺でせっかく買ってきた杖を灯台の階段わきに立てかけたまま、忘れて帰りました。本州最南端の杖かもしれません。

串本駅に戻ってから、電車までの間に、橋杭岩を見に行きました。

9月7日 串本 橋杭岩-r.jpg

特急くろしお30号で白浜へ向かい、白浜館に到着しました。ここも画家さんが家族で泊った宿ですが、越の湯と同じく当時とは経営も変っていて、面影はあまりなさそうです。明日も煖華さんの見た白浜周辺を見る予定です。

2年 小山夏実

9月8日
5日目、朝から快晴に恵まれました。白浜館の目の前が白良浜で、事前学修で講読した画家中庭煖華さんの1967年の日記には、この宿の玄関に生けられた生け花や部屋から見た白砂青松の景色のスケッチもあります。まずは白良浜へ行きました。白い砂浜に緑の松、青い空との取り合わせは素敵でした。砂が白くて細かいせいか、海の色もきれいでした。近くにある熊野三所神社では昭和天皇行幸の折の御座船が保存されており、また、火雨塚古墳もありました。古くは奈良時代にも天皇や皇族がこの近くから上陸したそうです。とても歴史を感じる場所でした。

9月8日 白砂青松の白良浜-r.jpg

そこから徒歩で円月島を目指しました。波の浸食作用でぽっかりと穴の開いた巨大な岩で、事前に見てきたガイドブックでも紹介されています。煖華さんは円月島を見ることも旅の目的だったようで、スケッチしていますが、意外にも歩いているうちすぐに見えてきました。

9月8日 円月島-r.jpg

ともかく画家さんと同じ視線を目指そうと、近くに向かいましたが、日記にある通り、京都大学の水族館付近まで来ると、側面になってしまい穴は見えませんでした。ただ、横から見ると、とても大きく迫力がありました。

今度はバスに乗って三段壁まで行き、千畳敷まで歩きました。三段壁はテレビの2時間サスペンスドラマに出てきそうな絶壁の奇観で、千畳敷は平らな岩が海に向かって延々と広く張り出した海岸です。風がとても強く歩くのも大変でしたが、絶景でした。

9月8日 千畳敷-r.jpg

白浜駅から特急くろしお号に乗り和歌山乗り換えで橋本、そこから極楽橋まで南海電車で移動しましたが、極楽橋から高野山駅まではケーブルカーに乗りました。高野山駅からはバスで高野山に入り、千手院橋バス停で降りて、徒歩で今晩泊めていただく高野山報恩院へ到着しました。途中、いくつもの山内寺院や霊宝館、壇上伽藍のわきを通りましたが、明日、明後日見学する予定です。夕食は大広間で御膳に載った精進料理をいただきました。ごま豆腐・高野豆腐などがあり、天ぷらの中に酒粕があったのは珍しく、初めて食べました。

9月8日 高野山大門-r.jpg

いまは夜も更けてきました。時おり、寺の鐘が鳴るのが聞こえます。煖華さんの日記の通り、半世紀前と変わらず、宗教都市なのだと感じます。

4年 石橋瑠香

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旅は高野山に続きます。

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芸術文化フィールドワーク 現地レポート②~熊野
芸術文化フィールドワーク 現地レポート①~伊勢

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