人文学部 日本文化学科 ニュース

授業紹介アーカイブ

さまざまな情報の渦の中、私たちは、情報とどう向き合うべきかを常に意識しなければなりません。得られた情報がフェイクニュースかどうかを見定めるだけでなく、発信された情報の意図や背景を考えたり、発信されていない情報に目を向けたりすることも大切です。

「メディアリテラシー」という授業ではさまざまな角度から情報についてじっくり考えます。また、情報発信の担い手として効果的な情報発信についても考えます。授業の後半では、発信者として、キャンパスライフをテーマにしたポスター制作を行いました。グループごとに共通サブテーマを考え、それぞれがテーマに沿ったポスターを作成しました。

完成した後は、各グループ、制作エピソードを伝えるプレゼンも行いました。どんな想いを込めたのか、どんなところで苦戦したのか、いずれのグループも興味深いプレゼンでした。制作過程のエピソードを知ることで、作品の見方も変わってきます。そのような意識の変化も新たな気づきとなりました。

キャッチコピーをどうするのか、どんなフォントを使うのか、背景をどうするのか、さまざまな要素が見る人の印象を変えます。また、画像や写真とかかわるさまざまな権利についても考えるきっかけとなりました。

今回作成したポスターの一部は、今年の第4回オープンキャンパスで展示しました。来られた方に、「すごいですね」と言っていただき、授業担当者としても大変うれしく思いました。

以下イラストも含めすべて学生のオリジナルです。

⇓ なんといってもこのイラストのクオリティの高さには受講生一同脱帽でした。

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⇓ こちらのイラストも本当にかわいらしいです。色合いがやさしさにあふれています。

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⇓ こちらはなかなか斬新なデザインです。帯のグラデーションが絶妙です。

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こちらは、言葉がメインのポスター。韻を踏んでいます。文字と背景のぼかしのバランスに苦労したそうです。使用したフォントが言葉を引き立たせています。一つ一つの言葉が心にしみます。こんなふうに思っていてくれたこと、ありがたく思いました。

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次年度もすてきな作品と出会えますように。

文責:渡邊ゆかり

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今年も、植西先生が担当する「キャリア・スタディ・プロクラムⅢ」という授業の中で日本文化学科2年生がまとめた「私のライフキャリアビジョン」というデジタル冊子が完成しました。

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今年は、137ページもの大作です。トピックスは、
「私のライフキャリアビジョン」
「私の仕事」
「大切にしてきた言葉」
「当たり前の生活を守る路線バス運転手さんのお仕事に接して」
「ワクチン手当支給の是非を考える」
の5つです。

「私のライフキャリアビジョン」「私の仕事」では、受講生一人ひとりが2ぺージずつ、自分自身が考えるライフキャリアビジョンや希望する仕事をまとめています。司書や教員などをめざしている人も多かったのですが、ゲームと関わる仕事を希望している人、町おこしと関わる仕事を希望している人、「世帯収入と学力の格差の解消」といった社会問題を念頭においている人もいました。まだ将来どんな仕事につきたいのか自分の気持ちが漠然としている人も、働く中で自分が大切にしていきたいことについてはイメージが描けていました。

「大切にしてきた言葉」では、自分自身を勇気づけたり、考え方を変えるきっかけとなるようなさまざまな言葉があげられていました。一つひとつご紹介できませんが、印象として努力とかかわる言葉が多い気がしました。また、好きな歌詞や小説の一節をあげている人もいました。

「当たり前の生活を守る路線バス運転手さんのお仕事に接して」は、NHK総合テレビ・プロフェッショナルの番組を見た学生たちの感想と、その学生たちの感想を読んでのバスの運転手さんからのお手紙です。学生にとっては、乗客の安全を守る責任のある仕事を真摯に行う姿や、乗客の方へのこまやかな心配りが印象に残ったようです。また、実際にバスの運転手さんから、お返事をいただけたことは大きな喜びとなったようでした。

「ワクチン手当支給の是非を考える」は、朝日新聞の記事をもとにした意見文です。賛成、反対の意見を出し合ったあと、賛成派、反対派の意見を踏まえて、さらに自分自身の意見を出すという2段階のステップをとっています。

2年生も4月からいよいよ3年生です。社会情勢はめまぐるしく変化していきますが、自分がこれまで大切にしてきたこと、大切にしていこうと思っていることを忘れず、つまずいてもへこたれず、一歩一歩、着実に歩んでいってほしいと思います。

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人文学入門は、国際英語学科と日本文化学科の1年生が一堂に集う、両学科教員によるオムニバス授業です。身近な動物やアニメキャラクター、郷土文化などを通して、人文学という学問の内容と方法を理解していきます。

「アンパンと正義」の授業では、多くの人が幼い頃に親しんだ「アンパンマン(実は、最初はあんぱんまん)」を通して考えました。

「アンパンマン」と聞くと、バイキンマンやドキンちゃんを同時に思い浮かべる方も少なくないでしょう。

けれど、最初の絵本『あんぱんまん』(1973)には、バイキンマンやドキンちゃんは登場しません。「あんぱんまん」は、アンパンチを繰り出すこともなく、自らの顔を差し出し、食べてもらうことで、飢えに苦しんでいる旅人や道に迷った子どもを助けていきます。この行為は、飢えがいちばん辛かったという作者のやなせたかしさん自身の戦争体験に根ざしています。また、作者のやなせさんが、当初はバイキンマンのような仇役をつくりたくないと考えていたという逸話も残っています。

やなせさんは、「正義」について「けっしてかっこいいものではないし、そしてそのためにかならず自分も深く傷つくもの」と『あんぱんまん』 のあとがきで語っています。また、『わたしが正義について語るなら』(2013) という本では、 「正義でいばっているやつは嘘くさい」とも書いています。

ともすれば、自分の「正義」のみを振りかざして、他者を攻撃したり、排斥したりといった出来事が目立つ昨今だけに、今一度「正義」を疑い、「正義」について共に考えたいと考えてこの授業を行いました。
 

受講生のみなさんの感想の一端をご紹介します。

○今日の講義を通して、「正義」について考えた。アニメやマンガ、日常生活の中では、「正義は勝つ」とよく言われる。果たして、「正義」は、何に勝つのだろう。その対象は、自分にとって不利益な人、嫌いな人かもしれない。

○「正義」を振りかざすとそれは悪になると聞いたことがあります。一方にとっての「正義」は、もう一方にとっても「正義」であるかは分からないし、「正義」の押しつけや強要も方法によっては「正義」ではなくなると思います。

○誰かにとっては紛れもない「正義」であることが、実は見えない誰かを傷つけていることだってあるかもしれません。物事には何でも裏と表がありますが、「正義」も例外ではないんだということを自覚しなければならないと思います。

○私は、最初にアメリカのウエスタン(西部劇)を思い浮かべました。先住民を敵にして戦っていくという「正義」を今の時代になって考えると、対立するものをつくって勝つことで、仲間と自分以外を分けたかったのか、人間はそういう考えを持っているけれど、そうではなくて、アンパンマンのような優しさを持つことなんだと思いました。

○私は、「正義」とは、かっこよくてさわやかな感じがしていたのですが、あらためて「正義」とはどういうものか考えさせられました。私は「正義」とは、自分が犠牲になって誰かの笑顔のために頑張ることなのかなと思いました。それは少しかっこ悪い感じもするけれど、私はそういうことができる人がかっこいいなと思いました。

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