人文学部 日本文化学科 ニュース

授業紹介アーカイブ

多くの文化的行事やイベントが、コロナ禍の中で開催中止に追い込まれています。長い年月、大切に受け継がれてきた広島の伝統行事も例外ではありません。ユネスコ無形文化遺産の壬生の花田植(写真は昨年の様子)を始め、県内各地の花田植が実施できませんでした。本学が昨年まで3年間続けて参加してきた安芸太田町の殿賀花田植も、実施を見送らざるを得ませんでした。神楽も多くの公演が中止になってしまいました。

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少子高齢化という問題が重くのしかかる日本社会、一度、開催を中止した伝統行事を再び立ち上げるにはたいへんな努力を要します。先が見えにくいという不安も払拭できません。
しかし、だからこそ、私たちは地域の伝統行事の価値に目を向ける必要があると考えます。
授業では、殿賀花田植と神楽公演の動画を視聴し、日本文化学科ニュースを読んだ上で、伝統行事の継承についてGoogle Classroomの「クラスのコメント」の中で意見交流を行いました。その一端をご紹介します。

○初めて花田植を知りました。実際に体験をしてこそ、たいへんさや楽しさに気づけるのだと興味を持ちました。また、神楽は、昔よくお祭で見ていました。迫力ある演技や演奏は人を引きつける魅力だと思います。このような素晴らしい伝統文化を守っていくためにも、私たちは行事に積極的に参加しふれていくことが大切だと思います。このような時代だからこそ、たくさんの方法でたくさんの人に知っていただくためにも、伝統文化をもっと学んでいきたいです。

○長く広島に住んでいるのに花田植という言葉すら知らなかった自分に、衝撃を受けました。もっと広島の歴史や文化を知りたいと感じました。花田植も神楽も学科ニュースを見るとやっている人たちがとても楽しそうで、私も体験してみたいと思いました。そして、まだ知らない人も多いと思うので、もっと多くの人たちに知らせたいと思いました。

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○花田植と聞いて最初に思い浮かぶのは、幕の内トンネルの出入り口に花田植の絵があるくらいで、詳しいことは何も知りませんでした。学科ニュースの記事を読み進めていく中で、たいへんな田植えを少しでも楽しいものにしようとする昔の人々の知恵やそれを現在に至るまで脈々と受け継ぎ、次の世代へ引き継ごうとしている地域の方々の思いを知りました。
神楽は、地域のお祭などで何度か目にしたことはありましたが、特別な意識を持って鑑賞したことはありませんでした。しかし、今回の授業で神楽を真剣に見て、役者の方々の繊細かつしなやかでありながらも力強い舞に圧倒されました。約1時間の演目も一瞬に感じてしまうほど引き込まれました。2つの題材について資料や動画を見ながら、私は文化を守り、受け継ぐ人々に強く感銘を受けたと同時に、地域の伝統文化さえ知らない無知な自分に対して恥ずかしさを感じました。自分自身がそれらの担い手になることは難しいかもしれませんが、そんな私たちができることは日本の文化や歴史をしっかり学び、人々に、そして次の世代へと伝えていくことだと思います。誰かに伝え、その誰かの記憶に残すこと、それがとても大切だと思いました。

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○私は小学校のとき、神楽クラブに所属し、2年間とも笛を吹いていました。あれから6年たった今でも曲を覚えているので吹くことができます。また、中学のときも神楽保存会に入っていました。そこで、神楽の歴史や地域性などは学んでいないので、調べてみたいと思いました。神楽はその団体によって、とにかく絶やさないようにしたいから参加者が楽しめるようにゆるくやっている(やらざるを得ない)という団体や、舞の質にこだわる、まるで部活のようにオーディションをして舞う人を選ぶ団体など様々あると思います。前者は私が入っていた保存会、後者は以前テレビ番組でやっていた島根県の団体です。団体同士の接触はなかったので、広島の団体だけでもどのくらいあるのかやどういうモットーで活動しているのか調べてみたいです。加えて、出雲阿国が始めた歌舞伎は徐々に男性しか踊れないようになりましたが、神楽はどんな人が舞っていたのか、神社や巫女の神楽との関係性、ストーリーとなっている歴史などを学んでみたいと思いました。

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○私は、オープンセミナーに参加して、花田植や神楽について初めて知りました。花田植は、実際にかわいい早乙女の衣装を着せてもらい、田楽を踊ってみたのですが、腰が痛かったことを覚えています。田んぼでやると、もっとたいへんなことを小さな子どももやっていると思うとすごいと思いました。神楽の笛の音も聞かせてもらい、衣装を着せてもらって迫力があると思っていましたが、全体の映像を見て、思った以上の迫力があり驚きました。伝統文化は、受け継ぐ人がいなくなってしまうと消えてしまうものだから、消えないようにするために、もっと花田植や神楽について知り、伝えていく一人になりたいです。来年は、ぜひ花田植に参加したいと思っています。

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新型コロナウィルス感染防止のため、日本文化学科も、前期は多くの授業が、Google Classroomを使った遠隔授業です。対面授業と違い、受講生のみなさんの反応がとらえにくいため、授業にうまく入ってもらうための手立てが必要になります。導入の工夫や写真の提示など、これまでの対面授業以上に大切と感じています。

「日本文学講読Ⅱ」は、夏目漱石の文学テクストを読み込み、その人生を辿りながら、文学を読むためのスキルを身につけることを目的としています。最初の授業では、「漱石と縁の深い二人は?」と問われたら誰を思い浮かべますかという趣旨の投げかけをしました。みなさんは、どんな人物を思い浮かべられるでしょうか。対面授業だと、受講生からよく挙げられるのは、正岡子規を筆頭に、森鷗外、高浜虚子、芥川龍之介といった人物です。

この授業での答えは、カープの鈴木誠也選手とマツコさんです。
鈴木誠也選手は漱石がかつて学んだ二松学舎の出身、つまり漱石と鈴木選手は、先輩・後輩の関係になるわけです。マツコさんは、アンドロイドになっている点が漱石との共通点です。

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ちなみに漱石のアンドロイドの声は孫で漫画家の夏目房之介さんですが、実は安芸太田町の吉水園(下の写真)を持たれている加計家の当主だった加計正文さんが、漱石の教え子で、その声を蓄音機に吹き込んだことが知られてます。今は、聞けなくなってしまっていますが、いつの日か技術の進歩で漱石の声が再生できるかもしれません。

遠いように思われる夏目漱石と広島ですが、意外なつながりがあります。

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受講生の声の一端をご紹介します。

○思ったよりも夏目漱石が近く感じられ、うれしかったです。もっと調べればさらに身近に感じられると思うので、これからも調べたいと思います。
○夏目漱石は、遠い雲の上の存在だと思っていたけれど、親近感がわいてきて面白かったです。
○漱石アンドロイドもあると知って見てみたいような、でも少し自分のイメージと違うとショックだなと思った。
○意外な関わりなど驚くことが多く、非常に興味深い内容でした。夏目漱石の生い立ちなど知らないことが多く驚きました。

これからも驚きと発見がある遠隔授業ができればと考えています。
                      

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日本文化学科2年生後期の必修科目「キャリア・スタディ・プログラムⅢ」では、それぞれの受講生が、就きたい職業、興味のある仕事等について調べ、小冊子「私の仕事」としてまとめ、これに基づいた発表を行いました。

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この冊子には、それぞれの思い描く仕事の特色ややりがい、社会的役割、その仕事に求められる力とともに、労働環境や女性にとっての働きやすさについて調べ、まとめています。

調べる過程で、思い描いていた仕事像と実際の仕事内容の違い、気づかなかったその仕事ならではの働きがい、女性がその仕事を続けていく上での問題点に気づくことも多かったようです。また、他の仕事について調べた人たちの発表を聞き、視野が広がり、選択の幅が増えたと感じた受講生も少なくありませんでした。

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冊子作りと発表を振り替えっての感想の一端をご紹介します。

○編集、出版関係の仕事へのイメージが、漠然としたものから、明確なものへ変わりました。多くの人が見て、手に触れ、読むものを作り上げていく上で、やりがいを感じることができ、誇りを持てる仕事だなと改めて感じました。さまざまな環境がある中でも、女性の存在が重視される場があることは大切で、今から、少しずつでも、編集、出版関係の職場を直接体験できる機会を探してみようと思いました。

○調べてみると、ジャンルは違っても、接客業に求められる能力や採用条件はどれも似ていて、ジャンルは違っても、やはり接客業という大きな括りでは一緒なのだと思いました。求められる基本の姿勢を意識し、今回調べたことを元にこの仕事を目指していきたいと思います。

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○このキャリアスタディのような授業で、将来のことについて考える機会が増え、自分に足りない力や先の見えない将来にふれ、焦りを感じた。しかしながら、目先の焦りにばかり捕らわれないよう、自分自身の希望としっかり向き合い、それに向けて、着実に準備していきたいとも感じた。市役所や県庁の行政職員は、教養試験を突破することが前提で、その後の面接やグループディスカッション等に重きを置くとの情報も出てきたので、この情報を今日からの学生生活に生かしたい。

○この仕事に関するプレゼンテーションを聞いて、他の職業にも興味がわきました。みんな、自分のやりたいことが明確で、たくさん知識を持っていて、いきいきと発表していて、私も明確にやりたい仕事を見つけないとなあと思いました。

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