人文学部 日本文化学科 ニュース

7月1日(水)と15日(水)の2日間、3グループに分けて、日本文化学科1年生の登校日を設定しました。

そこでは、三密にならないよう気をつけながら、オンライン、オンデマンド学修を円滑に進めるためにぜひ知っておいてほしいことをお伝えし、みなさんからの質問にお答えするとともに、手話を使った相互交流の場を持ちました。

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オンライン授業では、Google documentやGoogle slideを多く用います。課題提出をスムーズに行うためには、これらを使えるようになることが必須です。

足立直子学科長のレクチャーでは、説明だけでなく、実際にコンピュータを立ち上げ、自分で操作する中で使えるようになるようための演習を行いました。操作に困っていた方も、方法を知るだけでなく、実際にやってみて確認でき、少し安心したのではと感じています。また通信環境で困っている方のために、PC教室の利用の仕方等についても詳しくお伝えしました。

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また、1年生のみなさんから事前にいただいていた様々な質問にも、足立学科長からお答えしました。これから始まる試験のことやレポート、授業への出席、サークルや部の活動、奨学金についてなど、大切な点について確認できたのではないでしょうか。また、これからも、疑問点が出たときには、各教員に遠慮なく質問してほしいと思います。

その後、渡邊ゆかり学部長の指導で、簡単な手話を使った自己紹介をリレーし、相互交流の場を持ちました。

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短い時間の交流でしたが、1年生のみなさんが手話に真剣に取り組み、笑顔で交流する姿が素敵でした。

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1年生のみなさんにとっては、まったく予期せぬかたちでの大学生活のはじまりだったと思いますが、社会全体のオンライン化も、新型コロナウィルス感染拡大の中で急速に進んでいます。困難な状況下に大学でコンピュータスキルを学べるという環境を逆に生かし、これから必ず必要になる情報処理・活用能力をさらに高めてください。 

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多くの文化的行事やイベントが、コロナ禍の中で開催中止に追い込まれています。長い年月、大切に受け継がれてきた広島の伝統行事も例外ではありません。ユネスコ無形文化遺産の壬生の花田植(写真は昨年の様子)を始め、県内各地の花田植が実施できませんでした。本学が昨年まで3年間続けて参加してきた安芸太田町の殿賀花田植も、実施を見送らざるを得ませんでした。神楽も多くの公演が中止になってしまいました。

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少子高齢化という問題が重くのしかかる日本社会、一度、開催を中止した伝統行事を再び立ち上げるにはたいへんな努力を要します。先が見えにくいという不安も払拭できません。
しかし、だからこそ、私たちは地域の伝統行事の価値に目を向ける必要があると考えます。
授業では、殿賀花田植と神楽公演の動画を視聴し、日本文化学科ニュースを読んだ上で、伝統行事の継承についてGoogle Classroomの「クラスのコメント」の中で意見交流を行いました。その一端をご紹介します。

○初めて花田植を知りました。実際に体験をしてこそ、たいへんさや楽しさに気づけるのだと興味を持ちました。また、神楽は、昔よくお祭で見ていました。迫力ある演技や演奏は人を引きつける魅力だと思います。このような素晴らしい伝統文化を守っていくためにも、私たちは行事に積極的に参加しふれていくことが大切だと思います。このような時代だからこそ、たくさんの方法でたくさんの人に知っていただくためにも、伝統文化をもっと学んでいきたいです。

○長く広島に住んでいるのに花田植という言葉すら知らなかった自分に、衝撃を受けました。もっと広島の歴史や文化を知りたいと感じました。花田植も神楽も学科ニュースを見るとやっている人たちがとても楽しそうで、私も体験してみたいと思いました。そして、まだ知らない人も多いと思うので、もっと多くの人たちに知らせたいと思いました。

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○花田植と聞いて最初に思い浮かぶのは、幕の内トンネルの出入り口に花田植の絵があるくらいで、詳しいことは何も知りませんでした。学科ニュースの記事を読み進めていく中で、たいへんな田植えを少しでも楽しいものにしようとする昔の人々の知恵やそれを現在に至るまで脈々と受け継ぎ、次の世代へ引き継ごうとしている地域の方々の思いを知りました。
神楽は、地域のお祭などで何度か目にしたことはありましたが、特別な意識を持って鑑賞したことはありませんでした。しかし、今回の授業で神楽を真剣に見て、役者の方々の繊細かつしなやかでありながらも力強い舞に圧倒されました。約1時間の演目も一瞬に感じてしまうほど引き込まれました。2つの題材について資料や動画を見ながら、私は文化を守り、受け継ぐ人々に強く感銘を受けたと同時に、地域の伝統文化さえ知らない無知な自分に対して恥ずかしさを感じました。自分自身がそれらの担い手になることは難しいかもしれませんが、そんな私たちができることは日本の文化や歴史をしっかり学び、人々に、そして次の世代へと伝えていくことだと思います。誰かに伝え、その誰かの記憶に残すこと、それがとても大切だと思いました。

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○私は小学校のとき、神楽クラブに所属し、2年間とも笛を吹いていました。あれから6年たった今でも曲を覚えているので吹くことができます。また、中学のときも神楽保存会に入っていました。そこで、神楽の歴史や地域性などは学んでいないので、調べてみたいと思いました。神楽はその団体によって、とにかく絶やさないようにしたいから参加者が楽しめるようにゆるくやっている(やらざるを得ない)という団体や、舞の質にこだわる、まるで部活のようにオーディションをして舞う人を選ぶ団体など様々あると思います。前者は私が入っていた保存会、後者は以前テレビ番組でやっていた島根県の団体です。団体同士の接触はなかったので、広島の団体だけでもどのくらいあるのかやどういうモットーで活動しているのか調べてみたいです。加えて、出雲阿国が始めた歌舞伎は徐々に男性しか踊れないようになりましたが、神楽はどんな人が舞っていたのか、神社や巫女の神楽との関係性、ストーリーとなっている歴史などを学んでみたいと思いました。

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○私は、オープンセミナーに参加して、花田植や神楽について初めて知りました。花田植は、実際にかわいい早乙女の衣装を着せてもらい、田楽を踊ってみたのですが、腰が痛かったことを覚えています。田んぼでやると、もっとたいへんなことを小さな子どももやっていると思うとすごいと思いました。神楽の笛の音も聞かせてもらい、衣装を着せてもらって迫力があると思っていましたが、全体の映像を見て、思った以上の迫力があり驚きました。伝統文化は、受け継ぐ人がいなくなってしまうと消えてしまうものだから、消えないようにするために、もっと花田植や神楽について知り、伝えていく一人になりたいです。来年は、ぜひ花田植に参加したいと思っています。

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新型コロナウィルス感染防止のため、日本文化学科も、前期は多くの授業が、Google Classroomを使った遠隔授業です。対面授業と違い、受講生のみなさんの反応がとらえにくいため、授業にうまく入ってもらうための手立てが必要になります。導入の工夫や写真の提示など、これまでの対面授業以上に大切と感じています。

「日本文学講読Ⅱ」は、夏目漱石の文学テクストを読み込み、その人生を辿りながら、文学を読むためのスキルを身につけることを目的としています。最初の授業では、「漱石と縁の深い二人は?」と問われたら誰を思い浮かべますかという趣旨の投げかけをしました。みなさんは、どんな人物を思い浮かべられるでしょうか。対面授業だと、受講生からよく挙げられるのは、正岡子規を筆頭に、森鷗外、高浜虚子、芥川龍之介といった人物です。

この授業での答えは、カープの鈴木誠也選手とマツコさんです。
鈴木誠也選手は漱石がかつて学んだ二松学舎の出身、つまり漱石と鈴木選手は、先輩・後輩の関係になるわけです。マツコさんは、アンドロイドになっている点が漱石との共通点です。

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ちなみに漱石のアンドロイドの声は孫で漫画家の夏目房之介さんですが、実は安芸太田町の吉水園(下の写真)を持たれている加計家の当主だった加計正文さんが、漱石の教え子で、その声を蓄音機に吹き込んだことが知られてます。今は、聞けなくなってしまっていますが、いつの日か技術の進歩で漱石の声が再生できるかもしれません。

遠いように思われる夏目漱石と広島ですが、意外なつながりがあります。

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受講生の声の一端をご紹介します。

○思ったよりも夏目漱石が近く感じられ、うれしかったです。もっと調べればさらに身近に感じられると思うので、これからも調べたいと思います。
○夏目漱石は、遠い雲の上の存在だと思っていたけれど、親近感がわいてきて面白かったです。
○漱石アンドロイドもあると知って見てみたいような、でも少し自分のイメージと違うとショックだなと思った。
○意外な関わりなど驚くことが多く、非常に興味深い内容でした。夏目漱石の生い立ちなど知らないことが多く驚きました。

これからも驚きと発見がある遠隔授業ができればと考えています。
                      

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