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大学からのお知らせ

2019年03月18日活動報告

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カンボジア・スタディツアー2019④ーFIDR事務所訪問、国立小児病院見学、カンボジア史フィールドワークⅡ

FIDR事務所訪問、国立小児病院での給食事業見学

2月26日

とうとう現地最終日が来てしまいました。午前中はFIDR(国際開発救援財団)の事務所訪問と、FIDRが長年支援を行っていた国立小児病院での給食事業見学です。FIDRの南さんによる活動紹介は情報量が多く、学びにみちていました。

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国立小児病院では、カンボジア人の栄養科女医のソフィアさんからプレゼンテーション。カンボジア人のドクターが誇りをもって事業の紹介をしてくださったのが印象的でした。管理栄養士の国家資格がないカンボジアで、また、外科や内科といった診療科が柱である病院で、やや肩身の狭い思いも経験しながら、栄養科こそすべての根本と誇りをもって給食事業に取り組んでいるドクターの姿が印象的でした。

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学生の側でも、とくに管理栄養学科の学生を中心に、説明を聴き、施設を見学する目の色がキラキラと輝いてきます。メモをとるペンにも力がこもります。

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施設見学後に、提供されている離乳食の試食をさせていただきました。

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とうもろこしを使って甘い味に仕上げています」と説明をうけながら実食...ん?...塩辛い?そのように伝えると、ドクターの顔色が変わります。そうです。せっかく栄養価を計算し、注意深く指示を出しても、調理の段階で「目分量」だったり、味を整えられてしまったりすることがあるそうなのです。栄養科ドクターの試行錯誤は、まだまだ続きそうです。

その後、小児病棟や栄養カウンセリング室の見学までさせていただくことができました。

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管理栄養学科3年、黒瀬さんの感想です。

「国立小児病院の給食事業を見学して、健康な子どもを増やすために栄養面からのアプローチがとても必要とされているのだと感じました。家族への栄養カウンセリングも行われており、食事の悩みだけでなく、患者様の日々の不安を取り除く事も大切にされていました。私も管理栄養士として人々に寄り添えるサポートができるよう学んでいきたいと思いました。」

お昼はクメール伝統料理をたっぷりいただきました。

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キリングフィールド、トゥールスレン虐殺博物館見学

わずか40年前に起こった出来事が生々しく爪痕を刻む場所、キリングフィールドですが、隣接の小学校から、子どもたちの明るい歌声や歓声が時折響いてきて、複雑な思いにかられます。

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トゥールスレン博物館でも息のつまるような時間を過ごしました。計2万人を数えたという収容者は、拷問やキリングフィールドへの連行によって命を落とした人々がほとんどで、解放されたときにはたった7人の生き残りがいたのみといいます。

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今回なんと、そのうちのお一人、チュン・メイさんご本人にお目にかかることができました。博物館内で証言活動と本の販売を続けていらっしゃるのだそうです。

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重い宿題をいただいたような気持ちで博物館を後にし、いよいよ一行は帰国のため、空港へ向かいました。

帰りはベトナム・ホーチミン経由で、日付の変わった27日午前に広島に戻りました。

研修の終わりに

今回の旅は、多くの方のご支援を受け、また、多くの方の善意に支えられて、密度の濃い学びに満ちたものになりました。

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引率者として、ふたたびこの旅に同行させていただいて、本当に感謝でした。3年前とはカンボジアも驚くほど変わっているところがありました。
まず、5人乗りのバイクをあまり見かけなくなったこと。一家全員が一台のバイクにあぶなっかしく乗って移動する姿は、今回はあまり見られませんでした。そして、本文中でも触れたように、物売りの子どもをあまり見かけなくなったことです。しかし、貧富の格差はいよいよひどくなり、プノンペンでは拝金主義の風潮も強くなってきているとか。収入はここ数年で2倍にはねあがり、しかし生活コストは3倍になっているため、より苦しいという声も聴きました。
中国資本の流入も激しい勢いですが、日本のメーカーの進出とその頓挫(人件費コストが上がったため、ベトナムなどに戻った)など、社会のひずみを加速させることに、私たちが加担していることも考えさせられました。

一方で、今回多く聞いた声として、「コミュニティのためになにかしたい」「コミュニティのために働けることが誇りだ」という言葉です。ポルポトの虐殺は、コミュニティの解体という根深い社会的分断をも生み出したことを前回ツアーで学びましたが、ポスト・ポルポトの世代が新しいコミュニティを形成しはじめていることも学びました。今回はそれがしっかりと根を張り、成長していることを目の当たりにできたことを嬉しく思いました。「コミュニティのため」「子どもたちが大好きだから」―こんな声が自然に住民たち、ボランティアたちから起こってくるようなかかわりを、WVが続けていることは本当に尊いことだと思います。

引率 澤村 雅史

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③WVボレイ・チュルサール地域開発プログラム視察

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